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トランプ大統領のアジア軽視で不可逆的な米の影響力低下

   バンコクASEAN首脳会議(11・4)へのトランプ大統領の欠席はアジアでの米国主導秩序形成への意欲のなさを鮮明にした。

   喜んでいるのは中国。

   戦略的な米国益という視点を欠いたトランプ大統領によるアメリカの失うものはあまりに大きい。

   世界各方面・各地でのアメリカの地位の低下は決定的だ。
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独立心の覚醒を図ろう

    どこかでアメリカへの依存心が染みついた感のある我が国のありようの危うさに気付くべきだ。

    トランプ大統領の登場で我が国の戦後長らく続いたアメリカへの安保丸投げ状態の限界が鮮明になった。

    対IS戦でアメリカに協力することで、民族悲願の自治権の拡大を期待したシリアクルドは今見捨てられた現実を思い知らされた。

    ここにアメリカに関して我が国の学ぶべき点が多い。

アメリカの核の傘の信頼性、拉致、領土紛争など自己責任での取り組みが肝要だ。

米中対立の展望

   米中共ダメージが拡大し、どこかで妥協したくなるだろう。

   しかし、その妥協はあくまでも短期間の仮の姿。両者の対立は数十年間に及ぶことが予感される。

   世界は、基本的には両陣営に分断されるのではないか。

   長期対立の帰結はどうなるか。

   両者に組しない第三者が漁夫の利を得る可能性が高いのではないか。

   人口も大きいインド、インドネシアなどは有望ではないか。

   わが国はアメリカとの関係を基調としつつ、民間レベルで中国との関係を深める。かつ漁夫の利候補国との関係拡大に配意すべきだ。

   情報立国&戦略的発想。

 

我が国は国際協調推進に努めよ

   トランプ大統領の国際協調を支える枠組みへの軽視・敵視政策は誤りだ。

   トランプ大統領の率いるアメリカとの対立は避けるしかないが、他方で国際協調を推進するための努力を続けることが賢明だ。

   TPP、日欧EPAなどの自由貿易拡大への連携を図る施策を推進したい。

   米中対立に関しては、個別企業はそれぞれの判断で乗り切るしかない。

   米中の底力の問われる当面の冷戦状態は想像以上の期間に及ぶ可能性が高まっている。

   両国民のナショナリズムに訴えたことが原因。

   底力がいずれに勝利をもたらすか?

アメリカ有利という見方が多いようだが、私は中国の底力の方に傾く。

   



  

米中対立の行方

   米中の長期にわたる対立局面入り必至の情勢だ。

   ここはしっかり戦略を立、直してわが国の対応を考えなければならない。

   以下の見極めが肝要だ。
 
   アメリカ、とりわけトランプ大統領の判断の変化可能性の大きさ。

   それに対して、中国の側の持つある種の安定性。

   独裁体制で、選挙に対する考慮はない点で中国が圧倒的に安定的だ。

   中国は、要所要所の問題局面での政策対応が容易だ。

   必要な分野には、補助金などの支給もできる。

   株式市場への介入などでも中国は優位に立つ。

   短期的には、マスコミの統制も中国の有利さになる。

   さりとて、短期的な対立局面での総合的なアメリカの優位は明らか。

   にもかかわらず、中国の総合的な危機対応力をどう判断するかが肝要だ。

      
プロフィール

大貫啓行(おおぬきひろゆき)

Author:大貫啓行(おおぬきひろゆき)
麗澤大学経済学部・大学院教授(2014年4月から名誉教授)、(公)モラロジー研究所教授。元警視監。
東京大学法学部卒業。
1967年警察庁入庁。内閣官房、外務省、防衛庁への出向も経験、中国情報分析を中心とした内外情報畑一筋30年のエキスパート。
お問い合わせはkikikanri110@gmail.comまで。

在中国一等書記官(文化大革命直後の政治情報収集)、警視庁外事1課長(ソ連スパイ・レフチェンコ事件を指揮)、内閣情報調査室国際部(中国・ソ連分析キャップ)、防衛庁調査1課長(ソ連による大韓航空機撃墜事件の事後対応)、秋田県警察本部長、長崎県警察本部長(雲仙普賢岳噴火災害警備を指揮)、警察大学校特別捜査幹部研修所長、警察庁国際部長(初代国際部長として、阪神淡路大震災、オウムサリン事件、国松警察庁長官狙撃事件等の危機管理に携わる)、中国管区警察局長等を歴任し、1996年より麗澤大学教授・2014年より同大学名誉教授。

川崎市顧問・危機管理アドバイザー(2004年~2014年)をはじめ、多くの自治体で各種の顧問・委員等も務めている。
【著作等】
(著書)「変革~日本の対外姿勢と危機管理」(広池学園事業部)
「現代中国の群像」「暮らしの法学~安全を考える社会システム」
「国際紛争と日本の選択」『暮らしの行政~私と公の共生システム」
「説得力の養成」(以上麗澤大学出版)
「中国はどこに向かう」(白金出版)ほか
(論文)「災害に関する危機管理」「雲仙普賢岳噴火災害警備考」
「在ペルー大使公邸占拠事件の考察」「公務員における意識改革の現状」
「中国~国家・社会変革方向の考察」(以上麗澤大学紀要)など

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