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子供・若者問題の根底は人間関係の希薄化

 全国紙への原稿(平成24年12月)です。

 いじめ自殺、親・子殺し、未履修と児童・学生と若者関連の問題が目立つ。
11月30日付社説「犯罪だと徹底して教えよう」の呼びかけや大人の毅然とした対応特に教師の権威確立が急務であり「なれ合い型学級」がいじめの温床(24日)との指摘に賛同。30日付「各国のいじめ事情」は新鮮だった。年齢を超えて遊び学ぶ友人がいるアフリカで深刻化していないことに豊かさの意味を改めて考えさせられた。根底
は人間関係の希薄化なのだ。人間関係の回帰には万能薬はなく、各方面が多角的         かつ息長く取り組むしかない。討論や論述などの企画では個別の問題の底に通じる所を探り総合的な対策を引き出す配意を求めたい。
現在進行している議論は総じて対処療法的対策が目立つ。より大胆な改革、白紙に再設計しなおす抜本的な検討を促すことを期待したい。                  

大学の崩壊               
公務員生活を経て大学の教壇に立ち、衝撃を覚えた2点に触れたい。
一つは、学力低下で水準を保った授業が成り立っていないこと。たとえば、世界史も日本史も地理も履修していないことを前提としなければならない。従来は高校で履修していない人も自分で補って授業に臨んでいたが、現在ではそうした努力をしない学生が多い。
8日付「大学淘汰⑤」指摘の教員の力不足によって一層深刻化しているのも事実だが、同世代の半分が向学心に燃えているという前提に無理があるのではないか。
高校・大学と進む単線構造を改め、目的別に複線化する方向での抜本的設計し直しも検討すべきと考える。
一方、学力向上には妥協は許されない。全国統一の大学入学学力検定の実施も検討すべきだ。
二つは、若者が歓迎されていると感じにくい現実超氷河期と言われた6年間、          就職部長として学生と共に悩み、その背中を押し続けた。暖かく迎えられていると感じられない若者の存在。次代を担う者の育成への関心の低さを感じた。
経済環境に影響されない若者の就労環境整備。たとえば、20歳台従業員が一定の基準に達していない企業に分担金を求め、多く雇用している企業に養成費用として回せないか。       

レッテル貼りに組するな          
本欄執筆の最後に報道への注文を3点。
一つは、レッテル貼りの戒め。抵抗勢力、天下り、民営化などと議論の純化傾向が目立つ。さらに一歩掘り下げ、ちょっと待てよと、角度を変えた多様な見方を促して欲しい。
11月26日付「公務員動員15回」「京大でもやらせ質問」など、各紙共大きく扱った
タウンミーティング批判。動員や質問依頼のどこが悪いのか。また、2日付「日当最高10万円」では、質問者である国会議員の遥かに高額な1日当たりの実質税金負担額などにも触れるなど複眼兼備であって欲しい。そもそも国会では揚足取りではなく法案の中身の論戦をこそ展開すべきなのだ。
二つは、価値判断について。たとえば、パレスチナ自治区での57歳女性自爆テ       ロ犯人写真の扱い。本紙(11月27日付)は白黒だが名刺大の大きさ、朝日(24日      付)のカラー扱いには趣味の悪ささえ覚えた。いじめ自殺での遺書、予告手紙の写真の扱いは英雄視ともとられ微妙。報道は評価と影響に責任を負っている。
最後に、報じられていない部分考察の必要性。たとえば、真珠湾攻撃の65周年に当たる8日、関連記事が全くないことは淋しかった。                     
                    
この論評は東京本社発行の紙面をもとにしました。

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21世紀の家族関係を考える~人間の幸せ・絆の原点~

市民向け教養講座れじめ(2010年)

<はじめに>
   ① 日本人の性格:執着気質(きまじめで完璧目指す)50%
妄想気質(不安感じると悲観的に思い込む)70%
*人類が存続し続けられた最大の資質
   ② 走り続けてたどり着いた峠
③ じっくり考えたいこれからの「生き方」
        *哲学とは生き方

1 20世紀の特徴・・・「物で栄えて心で滅ぶ」
  (1)工業化による豊かさの実現
・大量生産・大量消費
・自動車の世紀・・・T型フォード発表から100年
(2)戦争による大量殺害
(3)森林の破壊・・・環境・再生可能限度超す?
(4)地域社会の変質
(5)家庭の変質
  (6)社会主義の実験と崩壊

2 敗戦による価値観の変化
  (1)伝統的価値観の喪失・・・代々受け継がれてきた倫理観の喪失
(2)歴史の否定
(3)義務と権利のバランス喪失
(4)個人主義
(5)思いやる心・「公」の喪失

3 1000年規模の断層・・・60年代
(1) 地域社会・家庭の絆の希薄化
(2) 核家族化・・・「磯野波平・サザエさん」一家から「島耕作」に
          5~6人家族そろっての食事風景から孤食の時代へ 
(3) 少子高齢化・・・非婚化
             教育費を計算して生むのか?
4 バブル崩壊の影響
  (1)会社人間
  (2)変われない症候群・・・農耕民族
  (3)成功体験の呪縛・・・官僚制・55年体制
              「志」・ノーブリスオブリージ(「武士道」)

5 長期間の不況の影響・・・90年代後半の意識の急激な変質
(1) 安全安心・・・自殺・体感治安の悪化
(2) 組織への帰属意識・・・内部告発
(3) 誰でもよかった殺人・・・生き辛さ。行き場のない閉塞感。
(4) 親殺し・子殺し
(5) 「個人としての自立」

6 日本人の拠り所
  (1)代々引き継がれてきた価値観
     ・共生・お互い様・・・・・・・他者を受け入れ、思いやる心。「寛容」
・「ほどほど」(バランス感覚)・・自制する心。「自省」「謙譲」
・もったいない・・・・・・・・大切にする心。「節約」「エコ」「感謝」
(2)大切にすべきもの
・神話、民話、古典、伝統(文化)・・・長い風雪に耐えた宝
・歴史・・・・・・・・教訓の山
・武士道・・・・・・・江戸時代までの倫理観の集大成

7 団塊世代への期待
  (1)孫子に引き継ぐバトンは何か
(2)日本人の拠り所・絆の再生
(3)子育ての失敗者だからできること

8 若者への期待・・・具体的な問題点の検討
  (1)巣篭もり・・・「茹で蛙」状態、閉塞感
     ・パラサイトシングル
     ・子離れできない親
     ・カーナビ親・・・子に先回りしてこまごまと指示
(2)携帯漬け・・・中学生の2割1日にメール50件以上
・仮想空間・・・バーチャルは珍しくなくなったリアルが希少性
   ・ネットに振り回されて依存症に(携帯依存症)
(3)IT・・・ドッグイヤー7倍速、マウスイヤー2ヶ月で出産
   ・急激な変化に対する疲労感 & 国境の壁の低さ(競争の激化)
(4) 自信喪失・・・内向きでは済ますことはできない
・改革への消極的な姿勢
(5)教育の重要性    
・伝統的心性「多神教的寛容さ」こそが「国際社会で不可欠」ナノダ
(6)若者に優しい社会
      
<おわりに>
   ① 恵まれた条件・環境への感謝
・日本の平均降水量1700ミリ、世界平均900ミリ
・水不足7億人(06年)、約30億人(25年)
② 心の再生・・・激動の20世紀の反省から学び、21世紀へと思いを馳せる
③ 人間の永遠の原点(礎・母港)としての親子・家族関係(感謝・愛情)
  ・私たちを包み込む郷土・祖国など集団との関係(感謝・愛情)
④ 次の世代へと引き継ぐ視点
⑤ 地球人という視点


{参考情報}
1 現代家族の姿
 (1)1世帯平均人数:2.79人(97年)・・・2.56人(15年推定)
・・・2.27人(30年推定)
(2)1人25%、2人24.5%、4人18.9%(75年野25%から減少)
 (3)特殊出生率:1.26(08年)
 (4)平均寿命:女85.99年(1位)、男79.19年(3位)・・・(08年)
 (5)1人暮らし:全世帯の26%(05年)から37%(2030年推定)へ
        非婚化&高齢者の1人暮らし増
 (6)パラサイトシングル:30歳代女性の4分の1・・・内、親と同居76%。
 (7)高齢化率(65歳以上)2055年推計40%(05年国勢調査の2倍へ)
              内2割余・・・結婚せず

2 具体的な問題点
(1)自殺  年間3万人超(97年以降連続)
    10万人当たり:日本27人、仏17人、独11人、伊6人、英6.8人
          自殺を悪とするカトリック
          友人、家族など小グループのまとまりがある
(2)老老介護
   核家族と少子化の影響
   介護保険を受けている世帯の内、介護者・要介護者共に65歳以上世帯増加中
47.6%に(07年)

3 中高生の生活意識調査(日本、中国、米国、韓国の比較)
 (1)1日の勉強時間:日本8時間、中国約14時間、韓国約10時間
 (2)学校の勉強を「きつい」と感じる者:日本最多(高校生77.2%)、他の国4~6割
 (3)就寝時刻0時以降:日本中学生約35%、高校生約70%。米国中学生1割、高校生2割以下。・・・日本の中高生の8割が「よく疲れている」と感じている。
 (4)「自分をダメな人間だ」と考えている:日本中学生約5割、高校生約6割。他国を大きく引き離す。
  *中韓と比べて、勉強もしないのに弱音をはいている。甘えの気持ちが強い。
(財団法人日本青少年研究所09年2月24日公表。08年9~10月実施日米中韓主要都市での中高生約8300人に対する意識調査)

4 携帯電話への依存
 (1)所有率:小学6年生24.7%、中学生2年生45.9%、高校2年生95.9%
 (2)1日50件以上のメール:小2.4%、中19.5%、高13.9%。
    (高校生の2割が食事、授業、入浴中なども使用)
(3)携帯使用のネット利用時間:中「1~3時間」が9%、「3時間以上」5%。
高「1~3」男22%、女31%。「3時間以上」男6%、女12%。
(4)トラブル経験者:中高生の7割、「しつこいメール」「つきまとわれ」「悪口書かれた」。逆に3割が悪口、チェーンメールなど書いた経験。プロフ利用経験者中高生の約4割。逆にプロフを知らない親が4割。<親子のズレ大
*「携帯依存が強くなると生活リズムが乱れる」と指摘
                   (文部科学省08年11~12月の調査)

5 人口動向
 ・総人口:1億2778万人(04年12月ピーク~06年)
      1億2706万人(08年3月末現在住民基本台帳)
     1億2830万人(07年世界人口白書、世界10位)*世界人口66億人
・生産年齢人口(15~64):1997年ピーク
・2100年中位推計約5千万人(明治末レベルに)
・75歳以上1割超す(08年3月末)・・・老年人口65歳以上21.57%
                   15歳未満13.62%
*およそ3万年前最古の人類日本に定住開始
*縄文時代早期2万人-中期26万人、応仁の乱(1467年)1000万人、徳川初期 (1603年)1100万人、明治維新(3500万人)、1900年4384万人。
*2035年以降・・・毎年約100万人減少
 
6 刑法犯認知件数:97年200万件超に
07年191万件・・・10年ぶりに200万件割る
*DV被害相談や被害届け2万5千件(08年)~DV防止法(01年施行)以来最多
*警察で扱ったストーカー事件1万4千件(08年)~対前年比8.9%増

7 自己愛型社会・・・自己愛の充実に最大の価値を置く
① 自分らしく生きる
② 家族との交流
③ 友人・知人との交流・・・近所との交流は下位

8 1世代の間に家庭環境の急激な変化
・磯野波平・・・3世代7人同居
・島耕作・・・作者弘兼憲史1947年生、松下電器産業経て76年漫画家デビュー

9 子供の体力、特に持久力の衰え
・子供の基礎体力の劣化:小6年(1985~2005年)
*ソフト投げ:男(30.0~29.8m) 女(20.5~17.8m)
*50m走:男(8.75~8.95秒) 女(9.00~9.20秒)

10 就職氷河期92年~04年
・ロストジェネレーション:約2000万人
・ニート・若年無職者など:64万人(03~06年青少年白書)



プロフィール

大貫啓行(おおぬきひろゆき)

Author:大貫啓行(おおぬきひろゆき)
麗澤大学経済学部・大学院教授(2014年4月から名誉教授)、(公)モラロジー研究所教授。元警視監。
東京大学法学部卒業。
1967年警察庁入庁。内閣官房、外務省、防衛庁への出向も経験、中国情報分析を中心とした内外情報畑一筋30年のエキスパート。
お問い合わせはkikikanri110@gmail.comまで。

在中国一等書記官(文化大革命直後の政治情報収集)、警視庁外事1課長(ソ連スパイ・レフチェンコ事件を指揮)、内閣情報調査室国際部(中国・ソ連分析キャップ)、防衛庁調査1課長(ソ連による大韓航空機撃墜事件の事後対応)、秋田県警察本部長、長崎県警察本部長(雲仙普賢岳噴火災害警備を指揮)、警察大学校特別捜査幹部研修所長、警察庁国際部長(初代国際部長として、阪神淡路大震災、オウムサリン事件、国松警察庁長官狙撃事件等の危機管理に携わる)、中国管区警察局長等を歴任し、1996年より麗澤大学教授・2014年より同大学名誉教授。

川崎市顧問・危機管理アドバイザー(2004年~2014年)をはじめ、多くの自治体で各種の顧問・委員等も務めている。
【著作等】
(著書)「変革~日本の対外姿勢と危機管理」(広池学園事業部)
「現代中国の群像」「暮らしの法学~安全を考える社会システム」
「国際紛争と日本の選択」『暮らしの行政~私と公の共生システム」
「説得力の養成」(以上麗澤大学出版)
「中国はどこに向かう」(白金出版)ほか
(論文)「災害に関する危機管理」「雲仙普賢岳噴火災害警備考」
「在ペルー大使公邸占拠事件の考察」「公務員における意識改革の現状」
「中国~国家・社会変革方向の考察」(以上麗澤大学紀要)など

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