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危機と言う言葉の考察

昨今、わが国で危機という言葉が氾濫し、余りにも広範囲に使用され、しばしば、かなりの混乱が目立つ。本稿では、「危機」という言葉の考察をしておきたい。

巨大津波の襲来など、絶体絶命の切迫した危機。命に係わるから、とにかく逃げろという状態の危機。釜石市の「津波てんでんこ」防災伝承に代表されるように、原則各自での対応になる。英語で言う「エバキュエーション」。日本語では「緊急事態対処」か?
東日本大震災を受けて、巨大津波の予想が34.4~34.6メートルということになった現在の前提では、わが国の大方の海岸部平地では、自己責任で「逃げろ」ということでしかない。せいぜい限定された範囲での近隣などの共助の問題だ。
そこでは自治体などでできることは、限られた事前の措置になる。たとえば、海岸の防災林や堤防などで津波の襲来を少しでも遅らすとか、少しでも弱めるといったこと。可能な限りの避難路の選定や堅固な高層建造物など避難場所の設定。こうしたことへの個々人などの対応力を増す防災教育ということだ。この教育が自治体に求められる最大の任務となる。
これに対して、台風など大雨による洪水などある程度対応の時間的な対処余地がある危機への対処がある。英語で言えば、「シュエルタリング」の対象など。避難場所を設定し避難してくださいというものだ。こちらは。災害弱者への対応など相当の措置が可能になる。現在、多くの自治体が行っている備蓄は主としてこの場合への対応だ。
また、仮設住宅などは事後の対策になる。復興対策などの範疇と考えていい。事前の対策と明確に区別しておくべきだ。特にエバキュエーション事態では、とにもかくにも生き残った上で初めて考えられる対応だ。
自治体の取り組むべきことは、まずは、命を守るエバキュエーションでの対策に重点を置くべきだ。シェルタリング対応や仮設住宅などは、場合によっては、優先順序は低くなることへの理解を求めることも必要だ。
備蓄もそういう意味で原則、自己責任という理解でいいのではないか。勿論。自治体は余裕があれば、ある程度の備蓄をすることもありえるが、それは、エバキュエーション自体への優先順序が転倒してはならない。資金に限りがあるのだから、最悪事態への対応を優先すべきだ。

国レベルでいえば、首都代替機能の想定及び確保などが優先する。全国的に対応できる救援船の構想なども優先度が高い。自治体としては、流通業者などとの協定、その他企業などとの共助・救援協定などを促進したい。いずれにせよ限られた人的物的財政的資源の優先配分が肝要だ。          
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プロフィール

大貫啓行(おおぬきひろゆき)

Author:大貫啓行(おおぬきひろゆき)
麗澤大学経済学部・大学院教授(2014年4月から名誉教授)、(公)モラロジー研究所教授。元警視監。
東京大学法学部卒業。
1967年警察庁入庁。内閣官房、外務省、防衛庁への出向も経験、中国情報分析を中心とした内外情報畑一筋30年のエキスパート。
お問い合わせはkikikanri110@gmail.comまで。

在中国一等書記官(文化大革命直後の政治情報収集)、警視庁外事1課長(ソ連スパイ・レフチェンコ事件を指揮)、内閣情報調査室国際部(中国・ソ連分析キャップ)、防衛庁調査1課長(ソ連による大韓航空機撃墜事件の事後対応)、秋田県警察本部長、長崎県警察本部長(雲仙普賢岳噴火災害警備を指揮)、警察大学校特別捜査幹部研修所長、警察庁国際部長(初代国際部長として、阪神淡路大震災、オウムサリン事件、国松警察庁長官狙撃事件等の危機管理に携わる)、中国管区警察局長等を歴任し、1996年より麗澤大学教授・2014年より同大学名誉教授。

川崎市顧問・危機管理アドバイザー(2004年~2014年)をはじめ、多くの自治体で各種の顧問・委員等も務めている。
【著作等】
(著書)「変革~日本の対外姿勢と危機管理」(広池学園事業部)
「現代中国の群像」「暮らしの法学~安全を考える社会システム」
「国際紛争と日本の選択」『暮らしの行政~私と公の共生システム」
「説得力の養成」(以上麗澤大学出版)
「中国はどこに向かう」(白金出版)ほか
(論文)「災害に関する危機管理」「雲仙普賢岳噴火災害警備考」
「在ペルー大使公邸占拠事件の考察」「公務員における意識改革の現状」
「中国~国家・社会変革方向の考察」(以上麗澤大学紀要)など

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