ネット選挙の可能性に期待~今後への影響は大きい~
↓↓↓
人気ブログランキングへ
今回の参院選からネット選挙が開始された。候補者サイドは、それぞれが積極的に利用を試みたが、選挙民サイドは限定的な利用にとどまり、全体としては、試行錯誤状態だった。
ビックデータ分析では影響が大きかった。最も有効に使った自民党本部は、50人の専従チームを編成、ブログ、ツイッター、チャットなどのネット情報を対象に、リアルタイムでの分析を実施、全国の候補者に訴えるべきポイントを発信した。たとえばアベノミクスの効果の実感が薄い有権者の多いことをつかむや、それらの有権者への「これから」との訴えを用意するといった具合だ。原発関連の関心が高いことを受けて、首相以下それへの発言を用意した。即座に「専門家の判断を受けて客観的に判断する」「安全基準を満たさなければ再稼働させることはない」など、「安全対策第一」という発言につなげていった。全候補者に情報端末を配布してもいた。各候補者への世論の変化を受けた訴えのポイント発言案の配信は有効だった。
対して、民主党など野党各党は、アベノミクスに対する批判を越えた、代案発信を求めるネット上での有権者の声に対する明確な対応が感じられなかった。これも野党敗因の大きな理由と思われる。
カンに頼る分析から、確かな分析結果に基づく分析へと、情報分析の手法が変わったということだ。政党や候補者のそれらへの機敏な対応が求められる時代になったことは明らかだ。
もちろん、ビックデータに基づく対応がどこまで功を奏したかの分析はさらに専門家の分析に待たなければならない。しかし、リアルタイムでの微妙な変化に自信をもって対応できた効果は少なくないだろう。今後、各党もビックデータの利用を取り入れることは間違いない。
ネット選挙ということで、ネット選挙に特化して運動した候補者(自民党比例区の伊藤洋介候補など)がいたが、思ったように得票が伸びなかった(伊藤候補は目標にした10万票に対して3万7千票)。候補者が期待するほど選挙民のネット運動への反応は高まらなかった。出口調査でのネットを参考にしなかったとした人は86%だった(日経7・22)。ネットを投票行動に与えた影響は、今回の選挙では限定的だった。
樽井良和候補(民主党・比例区)は、ツイッターで「ネット配信での選挙を試みたが結果は(民主党比例区候補中の)最下位、惨敗でほとんど票には結びつかなかった」との感想を呟いていた。
管元首相は自民党比例候補への落選運動を呼びかけたがほとんど効果は見られなかった。
若い世代の選挙への関心を呼ぶのに有効な手段となることは間違いない。しかし、今回はその効果は限定的だったが、若者に身近なネットを通じた選挙への参加は確実に関心を高めていくことを期待したい。大学内でも、多くの学生から政治や選挙を勉強しなければならない・・・という発言が聞かれた。若者をはじめ市民が団体を介さず自らの発信手段を手にした効果は大きいものがあろう。
今回は、候補者の発信は総じて無難なものだったが、今後、経験を積めば有効な発信手段となり、より影響力を強めることになることは間違いない。