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米国の外交戦略の欠如が招いた中ロの挑発的行為~2014年版IISS

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   米国の安全保障政策がテロ対策に偏り、外交戦略の欠如が周辺国への中ロの挑発的行為を招き、世界秩序への脅威となっている。
   世界の安全保障や軍事問題を専門に分析する英国際戦略研究所(IISS)の2014年版「戦略概観」(2014・9・18発表)の主要な指摘だ。
   9月上旬にNATO首脳会議が創設を決めた即応部隊(最短2日間で数千人規模の兵力を展開できる)を「欧州の軍事同盟の新しい役割に向けた第一歩」と評価した。
   テロへの対策に偏重し、大国(ロシア)への対応のおろそかになった米国の安全保障政策の失敗を指摘した。
   安全保障政策は、軍隊を派遣するかどうかの二者択一ではないとし、より巧妙で幅広い選択肢が求められると、ウクライナ問題への米国の対応の拙劣さを指摘した。
   また、米国の影響力の維持の既に困難になっていることにも踏み込み、2014年末に米国がアフガニスタンから戦闘部隊を撤退する方針を受け、2015年は米国が「世界の警察官」の役割を担ってきた時代に終止符が打たれる・・・とした。
   中国が東アジアで領有権を拡大させる動きを強めていることを、ロシアと並ぶ脅威としている。中国がアジア各国との外交について「一時的な関係悪化は長期的に戦略的な優位を得るための代償とみている」と分析している。
   日本の外交について、安倍首相の歴史観について、歴史修正主義的な行動が「中国や韓国だけでなく、中国との対立回避を優先する米国との関係も悪化させる」として、日本の孤立を一層強めると指摘した。

   IISSの指摘は多くの点で同意できる。
   特に、中国や韓国との関係の悪化は、中国との対立を回避したい米国との関係の悪化に繋がることは、常に心しておく必要がある。中国の存在感がますます高まる中でのわが国の外交戦略のあり方については、複眼的な見方が欠かせない。
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プロフィール

大貫啓行(おおぬきひろゆき)

Author:大貫啓行(おおぬきひろゆき)
麗澤大学経済学部・大学院教授(2014年4月から名誉教授)、(公)モラロジー研究所教授。元警視監。
東京大学法学部卒業。
1967年警察庁入庁。内閣官房、外務省、防衛庁への出向も経験、中国情報分析を中心とした内外情報畑一筋30年のエキスパート。
お問い合わせはkikikanri110@gmail.comまで。

在中国一等書記官(文化大革命直後の政治情報収集)、警視庁外事1課長(ソ連スパイ・レフチェンコ事件を指揮)、内閣情報調査室国際部(中国・ソ連分析キャップ)、防衛庁調査1課長(ソ連による大韓航空機撃墜事件の事後対応)、秋田県警察本部長、長崎県警察本部長(雲仙普賢岳噴火災害警備を指揮)、警察大学校特別捜査幹部研修所長、警察庁国際部長(初代国際部長として、阪神淡路大震災、オウムサリン事件、国松警察庁長官狙撃事件等の危機管理に携わる)、中国管区警察局長等を歴任し、1996年より麗澤大学教授・2014年より同大学名誉教授。

川崎市顧問・危機管理アドバイザー(2004年~2014年)をはじめ、多くの自治体で各種の顧問・委員等も務めている。
【著作等】
(著書)「変革~日本の対外姿勢と危機管理」(広池学園事業部)
「現代中国の群像」「暮らしの法学~安全を考える社会システム」
「国際紛争と日本の選択」『暮らしの行政~私と公の共生システム」
「説得力の養成」(以上麗澤大学出版)
「中国はどこに向かう」(白金出版)ほか
(論文)「災害に関する危機管理」「雲仙普賢岳噴火災害警備考」
「在ペルー大使公邸占拠事件の考察」「公務員における意識改革の現状」
「中国~国家・社会変革方向の考察」(以上麗澤大学紀要)など

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