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エジプトの冷静な現実~欠かせない現実的視点~

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  エジプトの混迷が続いている。エジプト情勢を見るうえでエジプトの現実を踏まえた現実的な視点が欠かせない。人間は理想主義と現実主義の間で揺れるが、現実主義が主導して歴史を作ってきたということだ。
  第一に、エジプトでは軍が国民の支持・信頼を獲得している。エジプトの安定には軍部の支持が欠かせない。
第二は、8千万人というアフリカとアラブにまたがった地域での地政学的なエジプトの重要性を考慮すると、米国はもちろん欧州諸国もエジプト軍による秩序維持を追認するしかないことになる。
したがって、エジプトでの秩序回復・維持には米欧は、エジプト軍を支持するしかないということになる。軍への支援、政府への経済協力が欠かせないということだ。
第三は、イスラム同胞団への支持は貧困層・農村部で30~40%と高いが、全国レベルでは20%程度。無視できない支持率だが、決定的ではない。非合法化して抑え込むことはできない。エジプトの安定には取り込むしかないということになる。
第四、イスラム同胞団はアラブ各国に存在し、それぞれの国内事情で、エジプトでの情勢推移は国内問題と密接に関係している。トルコがエジプト暫定政権に批判的で(関係悪化が避けられない)、サウジアラビア、クウェート、アラブ首長国連邦(UAE)は暫定政府を支援することになる(計120億ドルの支援約束)。
第五、原理主義傾向を強めることになるイスラム同胞団は、過激派との関係を強める懸念が強い。現実的には、イスラム同胞団の過激派との連携を避けさせるべく、穏健派を取り込む配意が欠かせない。非合法化するなど過度に追い込んではならないということだ。

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プロフィール

大貫啓行(おおぬきひろゆき)

Author:大貫啓行(おおぬきひろゆき)
麗澤大学経済学部・大学院教授(2014年4月から名誉教授)、(公)モラロジー研究所教授。元警視監。
東京大学法学部卒業。
1967年警察庁入庁。内閣官房、外務省、防衛庁への出向も経験、中国情報分析を中心とした内外情報畑一筋30年のエキスパート。
お問い合わせはkikikanri110@gmail.comまで。

在中国一等書記官(文化大革命直後の政治情報収集)、警視庁外事1課長(ソ連スパイ・レフチェンコ事件を指揮)、内閣情報調査室国際部(中国・ソ連分析キャップ)、防衛庁調査1課長(ソ連による大韓航空機撃墜事件の事後対応)、秋田県警察本部長、長崎県警察本部長(雲仙普賢岳噴火災害警備を指揮)、警察大学校特別捜査幹部研修所長、警察庁国際部長(初代国際部長として、阪神淡路大震災、オウムサリン事件、国松警察庁長官狙撃事件等の危機管理に携わる)、中国管区警察局長等を歴任し、1996年より麗澤大学教授・2014年より同大学名誉教授。

川崎市顧問・危機管理アドバイザー(2004年~2014年)をはじめ、多くの自治体で各種の顧問・委員等も務めている。
【著作等】
(著書)「変革~日本の対外姿勢と危機管理」(広池学園事業部)
「現代中国の群像」「暮らしの法学~安全を考える社会システム」
「国際紛争と日本の選択」『暮らしの行政~私と公の共生システム」
「説得力の養成」(以上麗澤大学出版)
「中国はどこに向かう」(白金出版)ほか
(論文)「災害に関する危機管理」「雲仙普賢岳噴火災害警備考」
「在ペルー大使公邸占拠事件の考察」「公務員における意識改革の現状」
「中国~国家・社会変革方向の考察」(以上麗澤大学紀要)など

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