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シリアへのミサイル攻撃は9日以降~米国の信頼性確保の為

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  オバマ大統領は日本時間1日午前3時、シリアへの短期限定攻撃を表明した。9日以降米議会の事前承認を前提条件とした。
  大統領の表明は米国の信頼性credibilityの維持のため、レッドラインとしていた化学兵器を使用したアサド政権を何もしないで見過ごすことはできないというのが本音だ。しかし、英国の脱落や国内世論の懐疑的動向から
の迷いも感じられる。議会での事前了解取りということは、議会への責任転嫁という心境でもあろう。

  北朝鮮やイランに対する米国の圧力が失われることを意味する「攻撃見送り」をした場合、オバマ大統領の国際的安全保障での軽さが決定的となる。且つ、中近東での米国の影響力も決定的に消失する。
  さりとて、限定的ミサイル攻撃でアサド政権が崩壊することも考えられない。空爆までは避けられないだろう。反政府勢力への武器等の支援も必至。そうした結果、中近東での過激派の影響力が強まり、地域の不安定性が長期化する可能性が高い。

  短期的にはシリアからの攻撃を受けた場合の、イスラエルの過剰な反撃(イラン原子力関連施設への攻撃)を引き金とした中東戦争の勃発の恐れが懸念される。

  アサド政権を軍事的に支えるのはイランからの義勇兵という形のイラン兵やイランの支援を受けるレバノンの民兵ヒズボラ兵士だ。それをロシアが、兵器を提供し全面的に支えている。
  反政府軍の主力はトルコなどからの義勇兵。資金的にはサウジなど湾岸諸国が支えている。反政府軍はアサド政権後を狙うさまざまな勢力が入り組んでいる状態。その間隙を突いてアルカイダなど過激派が影響力を強めている。
  シリアを巡っては、すでに国際化紛争化しているが、米軍の介入で、一層複雑化することは避けられない。
 オバマ大統領は30日シリアへの限定攻撃を検討する考えを表明した。これに先立ち、国務省はシリア・アサド政権による化学兵器使用を断定する情報機関の分析を基にした報告書を発表した。
  報告書で、少なくとも子供426人を含む1429人が殺害されたと指摘。アサド政権が化学兵器による攻撃を実行したと「強く確信する」と明記している。
  情報機関にとっての「強い確信」という表現は、直接的な複数の物証による完全な断定に次ぐ強い表現になる。情報機関の信用を掛けた断定だから「信じてくれ」というレベル。直接の情報は収集手段秘匿の為などの理由から示せないが、判断の証拠が十分あるということだ。おそらく、通信傍受記録が多数あるというレベルだろう。
  米国のミサイルや空爆の決断がされたということだろう。準備の整い次第攻撃が開始されるだろう。
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プロフィール

大貫啓行(おおぬきひろゆき)

Author:大貫啓行(おおぬきひろゆき)
麗澤大学経済学部・大学院教授(2014年4月から名誉教授)、(公)モラロジー研究所教授。元警視監。
東京大学法学部卒業。
1967年警察庁入庁。内閣官房、外務省、防衛庁への出向も経験、中国情報分析を中心とした内外情報畑一筋30年のエキスパート。
お問い合わせはkikikanri110@gmail.comまで。

在中国一等書記官(文化大革命直後の政治情報収集)、警視庁外事1課長(ソ連スパイ・レフチェンコ事件を指揮)、内閣情報調査室国際部(中国・ソ連分析キャップ)、防衛庁調査1課長(ソ連による大韓航空機撃墜事件の事後対応)、秋田県警察本部長、長崎県警察本部長(雲仙普賢岳噴火災害警備を指揮)、警察大学校特別捜査幹部研修所長、警察庁国際部長(初代国際部長として、阪神淡路大震災、オウムサリン事件、国松警察庁長官狙撃事件等の危機管理に携わる)、中国管区警察局長等を歴任し、1996年より麗澤大学教授・2014年より同大学名誉教授。

川崎市顧問・危機管理アドバイザー(2004年~2014年)をはじめ、多くの自治体で各種の顧問・委員等も務めている。
【著作等】
(著書)「変革~日本の対外姿勢と危機管理」(広池学園事業部)
「現代中国の群像」「暮らしの法学~安全を考える社会システム」
「国際紛争と日本の選択」『暮らしの行政~私と公の共生システム」
「説得力の養成」(以上麗澤大学出版)
「中国はどこに向かう」(白金出版)ほか
(論文)「災害に関する危機管理」「雲仙普賢岳噴火災害警備考」
「在ペルー大使公邸占拠事件の考察」「公務員における意識改革の現状」
「中国~国家・社会変革方向の考察」(以上麗澤大学紀要)など

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