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オバマ大統領10日の演説が示す苦悩するアメリカ~その力の限界

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 9月10日のオバマ大統領の演説は苦悩するアメリカの姿を浮き彫りにしている。
  「米国は世界の警察官ではない」「われわれには世界のすべての悪を正すすべはない」相対的に国力を失い内向きな国内世論の制約もあって身動きできない苦悩がにじみ出ている。スタッフの意見を容れ限定的な軍事攻撃を決断したが、世論の反対を受け動揺するという、オバマ大統領自身の優柔不断さも混乱を招いている原因だ。
  世界秩序の担い手であり続けたいという願望はあっても、アメリカはその力がないという現実をしっかりと認識しなければならない。アメリカは、空爆でシリアの制空権は容易に奪い取ることができる。しかし、だからと言ってシリア政府軍への打撃は限定的で、内戦は一層混迷するだけという結果となる可能性が高い。・・・という程度の効果しか及ぼせないというのが現実の力ということだ。「米軍はシリアの空軍力を限定的な攻撃で壊滅させる能力はある。だが、それでシリアの混乱状況が沈静化されることはない」(デンプシー統合参謀本部議長の米軍事介入への質問状への8月下旬の答える私信)ということだ。
  日米安保条約で、いざという時のアメリカ頼り心理を色濃く残している我が国にとって、実像のアメリカの力の衰えは重要な問題だ。
  有事に際して、アメリカは、北朝鮮へ何が出来て、どういう影響を及ぼせるのか。そうした冷静な判断の上で我が国の安全保障問題を議論しなければならない。
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プロフィール

大貫啓行(おおぬきひろゆき)

Author:大貫啓行(おおぬきひろゆき)
麗澤大学経済学部・大学院教授(2014年4月から名誉教授)、(公)モラロジー研究所教授。元警視監。
東京大学法学部卒業。
1967年警察庁入庁。内閣官房、外務省、防衛庁への出向も経験、中国情報分析を中心とした内外情報畑一筋30年のエキスパート。
お問い合わせはkikikanri110@gmail.comまで。

在中国一等書記官(文化大革命直後の政治情報収集)、警視庁外事1課長(ソ連スパイ・レフチェンコ事件を指揮)、内閣情報調査室国際部(中国・ソ連分析キャップ)、防衛庁調査1課長(ソ連による大韓航空機撃墜事件の事後対応)、秋田県警察本部長、長崎県警察本部長(雲仙普賢岳噴火災害警備を指揮)、警察大学校特別捜査幹部研修所長、警察庁国際部長(初代国際部長として、阪神淡路大震災、オウムサリン事件、国松警察庁長官狙撃事件等の危機管理に携わる)、中国管区警察局長等を歴任し、1996年より麗澤大学教授・2014年より同大学名誉教授。

川崎市顧問・危機管理アドバイザー(2004年~2014年)をはじめ、多くの自治体で各種の顧問・委員等も務めている。
【著作等】
(著書)「変革~日本の対外姿勢と危機管理」(広池学園事業部)
「現代中国の群像」「暮らしの法学~安全を考える社会システム」
「国際紛争と日本の選択」『暮らしの行政~私と公の共生システム」
「説得力の養成」(以上麗澤大学出版)
「中国はどこに向かう」(白金出版)ほか
(論文)「災害に関する危機管理」「雲仙普賢岳噴火災害警備考」
「在ペルー大使公邸占拠事件の考察」「公務員における意識改革の現状」
「中国~国家・社会変革方向の考察」(以上麗澤大学紀要)など

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