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安易な治安立法に走らずにテロと戦う努力を期待~東南アジアで進む強権化

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  東南アジアで治安維持強化最優先名下に強権立法が続いている。

  マレーシアでは8月1日に「国家安全保障会議(NSC)法」が施行され、首相を議長としたNSCを経ずに、軍や警察が非常事態を宣言でき、指定する警戒区域内では治安部隊による令状なしの家宅捜索や逮捕が可能になる。
  軍政下のタイでは8月7日、新憲法が承認されたが、軍政下、言論統制を進め、軍政に火亜hh的なテレビ局の放送を停止させた。
  17年末に形式的に軍政は終了するが、その後も軍が必要とすれば身柄を拘束できる措置は続く見通しだ。
  インドネシアでも1月のジャカルタでISに近いとされる組織による爆弾テロが発生したことを理由に、テロ関連人物拘束期間延長など警察権限強化立法を国会に提出している。
  バングラディッシュでも、6月に、テロ情報を理由に1万1千人余りを一斉に拘束した(その後の7月に首都ダッカで日本人7人の犠牲になるテロが発生した)。

  東南アジアでテロ懸念が高まっていることは事実。各国治安機関が権限拡大を図るのもわからないではない。

  問題は、強権の弊害だ。
  権力者周辺による富の独占が進みがちなのだ。腐敗も進むことになる。
  格差が拡大し、政権批判が進み、その批判を抑える手段として強権が使われがちなのだ。

  治安立法は、えてして当局によって政権批判勢力の取り締まりに使われ、民主化に逆行、優秀な人物の流出を生む懸念が高い。ひいては各国への海外からの投資意欲も減退しかねない。

  強権立法は、こうした悪いサイクルを招きがちなのだ。

  治安立法強化で安易な開発独裁の強権体質への回帰を避けながら、治安を向上させる地道な努力が待たれるのだ。
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プロフィール

大貫啓行(おおぬきひろゆき)

Author:大貫啓行(おおぬきひろゆき)
麗澤大学経済学部・大学院教授(2014年4月から名誉教授)、(公)モラロジー研究所教授。元警視監。
東京大学法学部卒業。
1967年警察庁入庁。内閣官房、外務省、防衛庁への出向も経験、中国情報分析を中心とした内外情報畑一筋30年のエキスパート。
お問い合わせはkikikanri110@gmail.comまで。

在中国一等書記官(文化大革命直後の政治情報収集)、警視庁外事1課長(ソ連スパイ・レフチェンコ事件を指揮)、内閣情報調査室国際部(中国・ソ連分析キャップ)、防衛庁調査1課長(ソ連による大韓航空機撃墜事件の事後対応)、秋田県警察本部長、長崎県警察本部長(雲仙普賢岳噴火災害警備を指揮)、警察大学校特別捜査幹部研修所長、警察庁国際部長(初代国際部長として、阪神淡路大震災、オウムサリン事件、国松警察庁長官狙撃事件等の危機管理に携わる)、中国管区警察局長等を歴任し、1996年より麗澤大学教授・2014年より同大学名誉教授。

川崎市顧問・危機管理アドバイザー(2004年~2014年)をはじめ、多くの自治体で各種の顧問・委員等も務めている。
【著作等】
(著書)「変革~日本の対外姿勢と危機管理」(広池学園事業部)
「現代中国の群像」「暮らしの法学~安全を考える社会システム」
「国際紛争と日本の選択」『暮らしの行政~私と公の共生システム」
「説得力の養成」(以上麗澤大学出版)
「中国はどこに向かう」(白金出版)ほか
(論文)「災害に関する危機管理」「雲仙普賢岳噴火災害警備考」
「在ペルー大使公邸占拠事件の考察」「公務員における意識改革の現状」
「中国~国家・社会変革方向の考察」(以上麗澤大学紀要)など

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