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学校の危機管理~危機管理力を養成するために~

教員免許の更新時教養で使用したもの。
教員に主体的な取り組みをしてもらうという認識を持っていただくことを目指している。
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始めに:安全安心な社会の構築

1 安全安心への関心の高さ    
  学校は社会の縮図・・・社会事象への関心が欠かせない
安全であってはじめて成り立つ教育・・・「余分なこと」といった意識の払拭
自信をつけるための各人の努力・・・体力・気力・日頃の備え
    素手の対応ではなくて、物を持っての対応・・・普段からの訓練
    そばにある物、何であっても
皆で協力して対処・・・関係者・機関を引き込んで<町内会、企業、NPOなど
  事前連絡・相談など関係者との連携・・・危機管理関連の「第一報」は速やかに

2 日本人は危機管理が苦手
    ①忘れやすい(対処療法)②議論しない(論理的発想が苦手)③持久力がない・・・
    伝統的な「性善説」体質で「和」を好む。
   「ニ度と再び同じ失敗はしないぞ」という危機管理向きの性格とは対極にあるようだ。「だからダメ」で済ませることはできない。国民性は変えにくいのだから、国民性を選定とした対応を考えておかなければならない。
* 「和」の社会:談合体質・建前と本音・慣習
* 「前例踏襲」の呪縛:特に公務員が陥りやすい傾向
*  責任の所在があいまい:無責任体質・ひたすら批判の嵐の過ぎ去るのを待つ傾向
  *  問題の先送り体質も

3 危機管理とは何か
(1)定義:実務的には「備えのできていない事象への緊急の対応」との理解(で十分)。
(2)対処:可能な限りの事象を想定し、“とっさ”に判断しなければならない幅を削る(狭くする)。それでもとっさに対応しなければならない部分が生じるので、それらへの判断力・基本的対応力などを可能な限り充実させておく(マニュアル作成や教育・訓練など)。
* 実務者として最も有効な学習手段は「他山の石」に学ぶこと。
  先例は勿論、一見関係の薄いような他所の失敗事例も「わがことに引き寄せて」学べば宝の山となる。事件事故ニュースは宝の山(OJTの材料)。
(3)万全の策はない:絶えずミスが起きる。想定外のことが起きる。・・・が、前提。

4 「安全」に関する教育に関して
(1)わが身の安全は「自分で守る」・・・<体力・生きた知恵をつけることの重要性
   例:20メートルダッシュが分かれ目。大声。膝を抱かえて小さく固まる。
(2)「ダメ」でなく・・・「なぜ」を考えさせる。<車に引き込まれる。間合い。 
(3)正しい情報の入手方法・・・地元自治体「防災・気象情報」を携帯電話で入手

5 実践としての危機管理遂行への決意・覚悟
(1)組織としての対応が肝要・・・学校ぐるみ・地域ぐるみ
            *「報(告)連(絡)相(談)」の励行
(2)個人の対応には限界・・・サポートを工夫(弁護士・専門家などへの相談など)
(3)「大きく構えて、小さく対処」・・・逐次投入の愚
*「備えができていないこと」への緊急の対応との定義から・・・新たな判断が求められ・・・職員一人ひとり、特に幹部職員の「覚悟」が問われることになる。
しかも、理屈ではなく「行動」によってのみなしえることだとの留意が欠かせない。
危機管理は、いざという時に「実行」できるかどうかという次元で考え・点検しておかなければならない。
普段から、緊急時に備えた業務の仕方を見直すことが欠かせない。
* 迅速な報告、「特にマイナス情報ほどトップまで」原則の徹底
  全容把握してない幹部記者会見が与える決定的なダメ企業・ダメ幹部の印象
  (雪印乳業社長の記者会見の場での、洗浄の不十分さを認めた大阪工場長への「君それは本当か」発言00・3・・・社長がポイントを把握していないで記者会見に臨んではダメ)
* 耳障りな報告をしてきた部下に、「ありがとう」と言えるくらいの上司でなければならない(「悪い情報ほどスピード勝負」)。
* 同時に隠していた場合の厳罰(職場での教育効果を考慮した「信賞必罰」)
* 対応策は対処療法や小出しではダメ。
(同様包装の全品回収に出た参天製薬、武田薬品工業と「低脂肪乳」のみの回収にとどめた雪印乳業の教訓)
  * 「危機管理はプロに任せればいい」という意識の誤り
    職場での危機管理はその任にある人が最高のプロ
    専門家の意見は参考にはするが、判断は皆さん自身で。
他人に依存する気持ちが一番危険。
どこにもプロは存在しない(依存心を断つ)。

6 大切なわが職場での具体論・・・「自らに対する厳しさ」&「他人への寛容さ」
   意識・情報の共有
   その職場を知ることに関して・・・当事者を越える適任者はいない
(1)定期的な話し合い・・・忘れやすいから
(2)実践的な訓練・・・頭でなく体で。全員参加の訓練も。
(3)マニュアル作成の勧め
  * いざというときに役に立つのは1枚紙(手作りの自己マニュアルが最も役立つ)。平時に冷静な頭で作成したものがあることで、緊急時の拠り所として自信につながる。
  * 作成自体が最高の学習・自信の源(毎年定期人事異動後)
  * 体を動かしての訓練が有益(図上演習も効果大)
  * 想定外の事態への備え・授権・応用動作が肝要
  * それぞれの職場の実情に即した対応すべき問題を考えておく(当たり障りのないことだけへの備えになっていないか)・・・たとえば、情報漏洩・個人情報保護、公益通報者保護、セクハラ・パワハラ、公務員倫理(一切の金回り)、OBとの関係(入札・予算執行・・・)から始まって・・・文書の保管・整理・廃棄、非文書の扱い、職場の整理整頓、言葉遣い、審査・検査・情報収集に当たってのさまざまな問題、出勤簿、出張報告、業者とのさまざまな関係、書類の家庭への持ち帰り、コピー、苦情への対応などに関する各自の判断になんとなく任されていることなどは真正面から検討しておかなくていいのか・・・など。
 (4)突き詰めれば情報収集&分析判断力の勝負。情報に対するそれぞれの立場での日常の勉強が欠かせない。
① 過去・経験に流される判断<まさかは起こりうる。
例:ベテランほど判断を誤った小泉解散(05・8)
② 専門家でもしばしば過つ。
例:大正時代の桜島大噴火
③ 偽情報に満ちている。
例:イラク開戦前のブッシュ大統領一般教書(大量破壊兵器の判断)
     <情報の選択的選択のわな・ウイッシュフルシンキング
④ 不完全情報下での判断・臨機応変の対応・工夫
  マニュアルに過度に頼らない(頼りにならない)。
  ⑤ 裁判の変化に留意
   例:行政の不作為での公務員個人の責任(薬害エイズ最高裁)、銃許可した行政の責任(高額和解)、児童公園から駆け出した子どもの交通事故での自治体責任など
  ⑥ 多くの事故は単純ミスから

<終わりに>
①  日ごろの修養・修練がものを言う。各自のやり方で弛まずに・・・。
* 声だって大きくなるし、心がけで要領のいい指示ができるよういなれる。
* 上がらない呪文だって自分に効き目があれば立派なもの「いわしの頭も信心から」
*「ちりも積もれば山となる」「点滴岩をも穿つ」
②  危機に臨んでは、「朝の来ない夜はない」との思い(前向きに。ネアカ)。
「悲観的に備えて楽観的に臨む」
③ 「安全・安心」の重要性
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プロフィール

大貫啓行(おおぬきひろゆき)

Author:大貫啓行(おおぬきひろゆき)
麗澤大学経済学部・大学院教授(2014年4月から名誉教授)、(公)モラロジー研究所教授。元警視監。
東京大学法学部卒業。
1967年警察庁入庁。内閣官房、外務省、防衛庁への出向も経験、中国情報分析を中心とした内外情報畑一筋30年のエキスパート。
お問い合わせはkikikanri110@gmail.comまで。

在中国一等書記官(文化大革命直後の政治情報収集)、警視庁外事1課長(ソ連スパイ・レフチェンコ事件を指揮)、内閣情報調査室国際部(中国・ソ連分析キャップ)、防衛庁調査1課長(ソ連による大韓航空機撃墜事件の事後対応)、秋田県警察本部長、長崎県警察本部長(雲仙普賢岳噴火災害警備を指揮)、警察大学校特別捜査幹部研修所長、警察庁国際部長(初代国際部長として、阪神淡路大震災、オウムサリン事件、国松警察庁長官狙撃事件等の危機管理に携わる)、中国管区警察局長等を歴任し、1996年より麗澤大学教授・2014年より同大学名誉教授。

川崎市顧問・危機管理アドバイザー(2004年~2014年)をはじめ、多くの自治体で各種の顧問・委員等も務めている。
【著作等】
(著書)「変革~日本の対外姿勢と危機管理」(広池学園事業部)
「現代中国の群像」「暮らしの法学~安全を考える社会システム」
「国際紛争と日本の選択」『暮らしの行政~私と公の共生システム」
「説得力の養成」(以上麗澤大学出版)
「中国はどこに向かう」(白金出版)ほか
(論文)「災害に関する危機管理」「雲仙普賢岳噴火災害警備考」
「在ペルー大使公邸占拠事件の考察」「公務員における意識改革の現状」
「中国~国家・社会変革方向の考察」(以上麗澤大学紀要)など

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