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企業のコンプライアンス・危機管理講演レジメ(2010年時点使用)「安全第一」&「信頼が基本」という原点の確認~信頼を育む地道な日々の積み重ね~

<はじめに>・・・後を絶たない不祥事・企業(組織)への厳しい目
  * 担っている任務へのプロフェッショナルとしての誇り。わが国の最重要インフラ、物流の大動脈・高速道路にかかわっているという連帯感(全体への思い・仲間意識)。
   現場を預かっているということに対する責任と誇り、現場の一人ひとり・チーム構成員の心と心の通じ合った生きた安全管理の実践への決意。
  * マニュアルなどとして結実している職場の先人たちの経験と知恵の結晶に対する初心に帰っての素直な噛み締め。
 同時にマニュアル化など文字にしにくい保安安全業務の本質を理解(生きた現場の知恵が大切。倫理は形式ではない)。
   それらの基本に加えて、各自の担当する現場やチーム員などの具体的な状況に応じた肉付けの妙。ここが皆さんに期待されているところ。
  * その肉付けが成功できるように、保全安全管理者としてのさらなるグレードアップを心がけていただきたい。根底にはトータルとしての人間力がものをいうという認識。
* 日常の修養修練の積み重ねが大切になる。

1 管理者としての研鑽(心がけるべき基本事項、多くの教えに共通な事項)
① 話をよく聞く・・・部下の話には耳を傾けて聞く。中でも、耳に痛い話は絶対に冷静に、そして話してくれている人に感謝の気持ちを持って聞くことが大切。
② 周囲をよく観察する・・・部下の一人ひとりに真摯に向かい合う。
③ 自分やチームをできるだけ客観的に見る・・・自分及び自分たちがどう見られているのか。常に客観的に自分たちを見るように努めることが肝要。
④ (基本姿勢は)他人には寛容に、自分には厳格に。
⑤ (まとめると)高い目標を抱いて日々、努力し、反省し、感謝する。

2「感性」の大切さ~より客観的に自分を感じる(見る)。国民・利用者の立場で感じる。
  日本人は感性の民とも言われる。四季の豊かな変化の中に暮らしてきた結果、特に感性が発達したのだろうか。以心伝心という言葉も感性の大切さを示している。若者の使う「KY」(空気が読めない)も意味するところは同じだろう。
  企業人としては、「国民が企業に何を求めているか?」「企業をどう見ているか?」ということに敏感でなければならない。特に変化の激しい時代、その時々の変化も含めて、国民の求めているところには常に注意していなければならない。
  変化の激しい時代である今日、国民の企業(人)に対する厳しい眼を適時適切に「感じ取る」心がけが肝要だ。
 * 景気の先行きへの関心
* 仕分けなど、公的な分野への批判的な目  
* 道路建設を巡る論議・関心の高さ
* 高速道路料金無料化・ガソリン税など政治的議論への関心の高さ

3 高まる企業倫理への関心~厳しい目
国民の企業倫理への関心の高まりは誰しも感じている。しかし、心のどこかでそれだけではやっていけないという本音も残存しているから厄介だ。国民(消費者)と企業(人)とのギャップが大きい時代となっている。変わらない企業への国民の苛立ちは急激に激しさを増している。
*信用できない企業が多い60%、信用できない人が多い64%。政治家や官僚への信頼18%・・・朝日世論調査08年2~3月<世の中の信頼が揺らいでいる。

4 企業倫理の本質は「国民のさまざまな注文に対応する企業の“誠実さ”」
  国民の要求は頻繁に変化することに留意しなければならない。(その都度)変化するどの要求に対しても誠実に対応する行動が、(今日の)企業に求められている。求められているのは、とにかく「社会の求めには誠実に対応します」・・・という企業の姿勢。企業は社会のさまざまな求めに応えることで初めて存在することができ、(結果として)利益を上げることができる。
  
5 従業員の意識も大きく変化している。
  公益通報者保護法(06年施行):指定された通報先は要件ごとに定められている。
①組織内部②行政機関③その他の外部・・・の順序
 *ホイッスル・ブローイング、ヘルプライン、コンプライアンス委員会など各企業の取り組み進む。
 *告訴・告発や内部からの通報全般の急増傾向(例:農水省「食の110番」に対する通報07年10月だけで700件)。
 *指定先を順序付たため、通報者の萎縮・警戒を呼び、現実にはいきなり報道機関への通報などが増えている。(企業内部への従業員の不信感は要注意)
 
6 求められるポイント
(1)事故防止:本人は勿論、家族を含めた関係者全員にとっての損失である事故を全員の総意で絶対に起こさないという決意。事故防止のための総員での取り組み。
(2)交通事故防止:中でも、仕事の性質上、最優先で取り組まなければならない交通事故防止対策。勿論、通勤や私生活での事故防止を含めての取り組みを。事故防止は慣れからくるマンネリに陥ることや寝不足など何らかの原因によって注意力が散漫になることを防止することになる。職場の総員による事故防止への創意工夫の発揮された総力での取り組み。
(3)不祥事防止:各自で判断する基準は、配偶者や子供に言えないようなことはしてはならないということ。難しい法律や規則ではなく、誰しもが「やてはならないこと」と分かっていることばかり。不祥事発生の原因は人間の弱さが主因。
 * 外部にばれることはない・・・という甘さ(昔のカンが通用しないという急激な変化が現実)。慣れや仲間同士のもたれあい・許しあい(うるさ型と言われたくない・・・ものわかりが良いと言われたいなどの職場でのナアナア関係)
 * 非難の激しさ・・・個人的にも仲間に対しても失うものへの認識。
 * 非公開が隠蔽として取締役個人に賠償責任判決(大阪高裁株主訴訟06・6)

(4)「李下に冠を正さず」:やってはならないことをしないだけでなく、疑いを抱かれるかも知れない様な行為を慎むという心得。常に外(他人)からどう見られるかというも物差しを用いる。そこまで配意できる真のプロフッショナル(との誇り)。
 * 規律ある作業ぶり(服装の乱れ、くわえタバコ、仕事場での飲食などにも気を配る)
 * 発声・指差し・整理整頓など
 * 基本事項の定期的確認・監査など
 * さわやかさに満ちた職場・仕事ぶり

(5)「自らには厳格で、他人には寛容に」:何事も「まあいいや」から問題が生じる。
職場の慣行になっているものでも問題がるものは改める勇気を発揮してもらいたい。
慣れから(職場の)シミに気づきにくくなる・・・外部からは良く見える。
仲間意識の魔力。
 * 交通規制しているが作業していない。通過車両は非難の目で見がちなもの。
 * 気がつかないうちに出ているかもしれない「高圧的な」と受け取られる態度
 * 小さなことの積み重ねが、結果としてとんでもないこと(信頼の喪失)になりかねない・・・という恐ろしさ

(6)「あれがだめ、これがだめ」ではなく、「チーム一丸となって夢や目標に向かう」要領での士気(モラール)高揚を図るのが現場リーダーの要諦・・・いつもお世話になっております。<前向きの運営・職場の雰囲気。
 * 「苦労した」ではなく「苦労かけた」という現場リーダーの姿勢
 *  緊張感・危機感を持って仕事に臨む。
 *  毎日。日々新た。

(7)在るべき姿:原点の確認
 * 尊敬する先輩を思い描いて研鑽。いつしか後輩から目標にされる存在に。
 * 一人ひとりの仲間(部下・後輩)への暖かい思いやり

(8)組織の一員としての基本留意点
  ①(自分が組織の一員として、瞬間的に)組織を代表してとの意識
  ② 守秘義務(情報への感度)
  ③ 報告・連絡・相談(報連相。組織の求心力を上げる心がけ)
  ④ ウソは厳禁(信頼の根底に関わる)
  ⑤ 言葉使い(特に電話での応対)
  ⑥ 率先垂範:やってみせる。(&褒める)
  ⑦ 情報の共有:意思疎通のよさ。
  ⑧ OJT(お互いに学びのある職場・切磋琢磨)
  ⑨ 支えあい
  ⑩ 感謝
   
(9)個人情報(プライバシー)の保護:無断コピーの厳禁。誰にも見られていないところでこそ厳正・厳格に。<見られていないところでこそ真価が問われる・天網恢恢疎にして漏らさず>

(10)「他山の石」:あらゆる失敗の事例こそが教訓に満ちた宝の山という心がけ
  * 報道されるさまざまな組織の失敗事例をわが職場に引き寄せて考えること
  * 「まあまあ」「これくらい」という意識に潜むわな
* 紙には書かれていない生きた事例(暗黙の知恵)に学ぶべき点が多い。
  * 危機管理の要諦
  
<おわりに>
  ① 一人ひとりの誠実で節度ある行動(姿&形も重要)
  ② 蓄積した専門知識・経験を通じて社会に貢献するという姿勢/誇り
  ③ 個人として職業人としての、生き方としての「倫理」(倫理道徳は個人レベルに)
④ 企業倫理は危機管理・広報戦略として理解
⑤ 最終的には共感を得る存在になることを目指すこと
⑥ ぶれない「志」・・・埋没しない理念、見抜く目、そして勇気

[参考資料]
1 企業倫理の歴史
  17世紀・・・欧米の企業倫理への関心の高まりは17世紀の奴隷売買、タバコ、ギャンブル、ポルノなどを生業とする企業へのキリスト教など宗教関係者の反対運動にさかのぼるとされる。

 1960年代   公害
73年  第1次石油ショックに伴う狂乱物価、便乗値上げ
70年代後半 企業倫理に関する社会的関心の高まり
         ミルトン・フリードマン「企業の社会的責任の重要性」を唱える。
   80年代   企業倫理に関する学術研究興隆 
   90年代   企業倫理実践のための仕組みづくり活発化
91年 経済同友会「新世紀企業宣言」、経団連「企業倫理憲章」
96年 経団連中心に「企業行動憲章(改訂版)」
2000年代に入って、牛肉偽装買い上げ騒動、米国でエンロンの企業不正経理など、国内外で企業の不正行為が相次いで問題となる。
02年 経団連「企業倫理憲章(再改定版)」
03年    公益通報者保護法(06年4月1日施行)
06年5月  内部統制システム導入の義務付け(改正会社法)
07年6月  消費者団体訴訟制度実施(01年消費者契約法の改正で導入決定)
08年4月  上場会社08年度から内部統制報告書作成と監査人の監査(金融商品取引法)
10年11月 企業の社会的責任に関するISO26000発効

2 コンプライアンス(Compliance)
  法令順守と訳される。
  欧米では「法令に違反しないように業務を遂行していく」という至極“当たり前”の意味で使用される。日本では「法令の文言のみならず、その背後にある精神まで遵守・実践していく活動」と捉えられている。 (したがって日本の意味合いで英訳するときは、business ethicsあるいはethical-legal complianceとした方が誤解されない。)
  さらに最近は①非難されない(違反がないという段階)②広報(いいことをしているというPRの段階)③なくてはならない存在(社会的に待ち望まれている有用な製品を生産するなど、「共感」を勝ち取るといった戦略的段階)・・・といった3段階に分けて理解する流れになっている。
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プロフィール

大貫啓行(おおぬきひろゆき)

Author:大貫啓行(おおぬきひろゆき)
麗澤大学経済学部・大学院教授(2014年4月から名誉教授)、(公)モラロジー研究所教授。元警視監。
東京大学法学部卒業。
1967年警察庁入庁。内閣官房、外務省、防衛庁への出向も経験、中国情報分析を中心とした内外情報畑一筋30年のエキスパート。
お問い合わせはkikikanri110@gmail.comまで。

在中国一等書記官(文化大革命直後の政治情報収集)、警視庁外事1課長(ソ連スパイ・レフチェンコ事件を指揮)、内閣情報調査室国際部(中国・ソ連分析キャップ)、防衛庁調査1課長(ソ連による大韓航空機撃墜事件の事後対応)、秋田県警察本部長、長崎県警察本部長(雲仙普賢岳噴火災害警備を指揮)、警察大学校特別捜査幹部研修所長、警察庁国際部長(初代国際部長として、阪神淡路大震災、オウムサリン事件、国松警察庁長官狙撃事件等の危機管理に携わる)、中国管区警察局長等を歴任し、1996年より麗澤大学教授・2014年より同大学名誉教授。

川崎市顧問・危機管理アドバイザー(2004年~2014年)をはじめ、多くの自治体で各種の顧問・委員等も務めている。
【著作等】
(著書)「変革~日本の対外姿勢と危機管理」(広池学園事業部)
「現代中国の群像」「暮らしの法学~安全を考える社会システム」
「国際紛争と日本の選択」『暮らしの行政~私と公の共生システム」
「説得力の養成」(以上麗澤大学出版)
「中国はどこに向かう」(白金出版)ほか
(論文)「災害に関する危機管理」「雲仙普賢岳噴火災害警備考」
「在ペルー大使公邸占拠事件の考察」「公務員における意識改革の現状」
「中国~国家・社会変革方向の考察」(以上麗澤大学紀要)など

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