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白紙の解答

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  私の日本の大学の教壇に立ち、教えた経験では、消極的な学生の存在へのショックとそれらの学生への、私自身の指導力のなさへのやるせない思いが強い。
  たとえば、記述式の出題に結構な数の白紙で提出する学生がいることにはなじめなかった。白紙の学生に、私は最初から嫌悪感すら覚えてしまうのだ。間違いなく極めて悪い評価にしてしまう。こりゃダメだと。
  10点の小問が5題に、50点の記述式の出題が一つといった出題で、50点の記述式への白紙回答はそもそも試合放棄のようなものだ。そうした対応の学生がいることが不思議でならなかった。はじめから試合放棄ということではないか。
  日経新聞(13・11・16)1面春秋欄にインド式の表現の量を重んじる評価の仕方が紹介されていた。日本では正確性が重んじられるがインドはとにかく書きまくることが求められると。インドでは、白紙での答案提出はそれだけで、思考力薄弱とされるというのだ。インド人教授の感覚が、私の感覚に近いので意を強くした。
  私の白紙答案への嫌悪感の理由を少々分析・紹介してみたい。
  記述式の出題に対する白紙という対応は、そもそも立ち向かう意欲が感じられない。やる気がないのですねという印象だ。それなら試験は受けないほうがいいのではないですか。どうして試験に出て、しかも回答を提出しているか理解できないのだ。とにかく、問題に出会ったら前向きに立ち向かってほしいのだ。どうしてそれがわかって切れないのだろうか・・・。
  問われている問題への正確な知識などが不足していたとしても、何らかの周辺のことでも何か書けないのですかと不思議でならない。記述式の問いに対して、白紙で提出しなくてはならないということは考えられないのだ。人間性の弱さ、逃避といったものを感じてしまう。
  正確な答案でなくては書けないというのかもしれない。しかし、それは間違いだ。 そういう態度は、いかにもひ弱い。正確にわからなくても、最善の対応をせざるを得ない。何とか取り組むということが世の中の常ではないか・・・というのが私の感覚だ。
   どうも、インド人の感覚も同様のようだ。インド人の持論主張・自己主張は有名だ。確かにとうとうと語る。大した内容ではないとしても、常に堂々と語るのだ。国際会議などで、インド人の対応と日本人音対応はそこからして大きな違いがある。
   国際会議などの場では、自己主張しなければ、何も始まらない。ひ弱い日本人を脱却しなけれはならない。
しかし、自己発信力をつけさせることは容易ではない。17年間余りを教壇で奮闘してみた正直な感想だ。
   
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プロフィール

大貫啓行(おおぬきひろゆき)

Author:大貫啓行(おおぬきひろゆき)
麗澤大学経済学部・大学院教授(2014年4月から名誉教授)、(公)モラロジー研究所教授。元警視監。
東京大学法学部卒業。
1967年警察庁入庁。内閣官房、外務省、防衛庁への出向も経験、中国情報分析を中心とした内外情報畑一筋30年のエキスパート。
お問い合わせはkikikanri110@gmail.comまで。

在中国一等書記官(文化大革命直後の政治情報収集)、警視庁外事1課長(ソ連スパイ・レフチェンコ事件を指揮)、内閣情報調査室国際部(中国・ソ連分析キャップ)、防衛庁調査1課長(ソ連による大韓航空機撃墜事件の事後対応)、秋田県警察本部長、長崎県警察本部長(雲仙普賢岳噴火災害警備を指揮)、警察大学校特別捜査幹部研修所長、警察庁国際部長(初代国際部長として、阪神淡路大震災、オウムサリン事件、国松警察庁長官狙撃事件等の危機管理に携わる)、中国管区警察局長等を歴任し、1996年より麗澤大学教授・2014年より同大学名誉教授。

川崎市顧問・危機管理アドバイザー(2004年~2014年)をはじめ、多くの自治体で各種の顧問・委員等も務めている。
【著作等】
(著書)「変革~日本の対外姿勢と危機管理」(広池学園事業部)
「現代中国の群像」「暮らしの法学~安全を考える社会システム」
「国際紛争と日本の選択」『暮らしの行政~私と公の共生システム」
「説得力の養成」(以上麗澤大学出版)
「中国はどこに向かう」(白金出版)ほか
(論文)「災害に関する危機管理」「雲仙普賢岳噴火災害警備考」
「在ペルー大使公邸占拠事件の考察」「公務員における意識改革の現状」
「中国~国家・社会変革方向の考察」(以上麗澤大学紀要)など

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