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秋葉原連続殺傷事件を巡って~プライバシー保護と監視社会化の間~

市民向け治安関係に関する講演レジメ(2011年2月)

                 
はじめに
  刑法犯認知件数8年連続減少中(2010年158万件、昭和62年レベルに回復)
  体感治安改善せず(特異犯罪の時代?)

1 やまない無差別(通り魔的)事件・・・暴走の印象
  08年
    1月5日、品川区商店街で高2男子、包丁で男女5人切りつけ
    3月23日、土浦市で男女8人が男に刺され1人死亡、7人ケガ
    6月8日、秋葉原の歩行者天国に男がトラックで突っ込み通行人をはねて次々にナイフで刺し、7人死亡、10人ケガ<進学高校・派遣労働問題
  10年
    12月17日、取手駅前路線バスでの中高生ら14人包丁・ナイフで切りつけ
<27歳男子「人生終わりにしたかった」、職を転々(包丁買ったのは1年前に会社辞めた時期)、ひきこもり<覚せい剤反応あり(心神耗弱?)
1月4日、土浦ホームセンター駐車場で包丁切り付け男<ひきこもり

2 ホコ天2年7ヶ月ぶり試験的に再開(11・1・23~日曜日毎)
  区、町内会、商店会など運営委員会、「風紀乱す行為許さぬ」・・・路上でのパフォーマンス、物品販売など一切禁止。ホコ天と車道の境は工事現場で使われるバリケード設置。
  反対してきた地元町内会は「治安の維持を第一に」と要望
  *運営委員会は約50台の監視カメラ設置
  *町内会は防犯カメラ16台管理運用
  *加藤智大被告(28)、死刑求刑、判決(3・24)
    <自分を無視した者に対し自分の存在をアピールし、復讐するため(検察動機)

3 ひきこもり・・・様々な推定数値:26万世帯、6箇月以上ほとんど家から出ていない人推定70万人(内閣府15~39歳)・・・半数30代(高齢化)
(1)社会に原因か・・・職場問題、病気、就職活動の失敗など
(2)精神障害か・・・多くの場合何らかの精神障害が伴っている
  *「妄想性障害」・・・中大教授殺害事件など「心神耗弱」責任能力の有無
4 警察の役割・・・任務拡大に死角はないか

終わりに  若者に夢を与えられない社会では将来が心配だ
<参考情報>

1 監視社会化でいいのか   
* 街に溢れるカメラ

2 ひきこもり傾向の者(予備軍)155万人
     * 3大原因・・・職場問題、病気、就職での失敗
  日本人新人社員、海外で働きたくないとする者5割(09年)
     ①リスク高い②能力に自信ない
  *主要原因は職場での不適合、就職での失敗・・・自信喪失

3 日本が今より良くなるとする者が半数を超えるのは30年後との回答
  重要な問題①雇用②政治力③経済力
                (11年1月連合調査より)

4 35~39歳男、親と同居する者41.6%(未婚率30.6%)
 * 不況で急速に晩婚化
 若い男性(16~19歳)セックスに関心ないとする者3分の1
  セックスレス夫婦(1ヶ月間関係なし)40%超
           (16~49歳対象の11年1月厚生労働省調査)
*「草食化」裏づけ?

5 ベネチアの「守旧的性格」
  冒険避け、過去の蓄積で生活を享受しようとの消極的傾向。
  生活水準維持するためか貴族男性の未婚率60%にも。

6 人口の自然減、初の10万人超(2010年)
  出生数107万人、死亡数119万人

7 死刑の永山基準(最高裁83年)
  事実上の死刑選択の基準として用いられている。
  ①罪責②動機③犯行態様、特に残虐性、執拗性④結果の重大性、特に被害者数⑤遺族の被害感情⑥社会的影響⑦被告の年齢⑧前科⑨犯行後の情状
  以上9項目を総合的に判断して、刑事責任が極めて重く、やむを得ない場合は極刑も許される。

                           2011年4月13日資料
              
 裁判員裁判について
               ~制度見直し論議~

始めに
   安全安心を担う国民・・・肯定的に受け止める経験者
捜査関係機関への刺激

1 供述調書重視(調書中心主義)から証言重視(公判中心主義)
     物証など客観的証拠重視/取調べの比重軽くする.
* 供述と異なる調書作成指示あったとする検事46%。(全検事対象意識調査)
<不適切取調べ横行

2 捜査の要諦・・・引き返す勇気・・・綿密に捜査し慎重に起訴

3 可視化 ・・・求められる現実踏まえた複眼思考
     録音・録画の長短

4 ケーススタディー(1)子供対象の性犯罪者
     過去5年間の出所者(13歳未満の子供への強制わいせつ、強姦など暴力的性犯罪者)740人対象の調査結果
           105人再検挙
           200人行方不明
    * 2010年強制わいせつ事件7028件(警察庁刑法犯認知件数より)
    * 性犯罪者やDV加害者にGPS常時携帯義務付け、警察が監視条例検討(宮城県、1月)
      韓国、米国などで実施している。

5 ケーススタディー(2)連続リンチ元少年3人死刑確定(最高裁3.10)少年法?

6 警察官の問題点
     人材供給。教育・養成に要する時間。
     萎縮効果招く側面。

終わりに・・・成熟した国民への信頼
参考情報
1 実施状況(09年5月21日施行~10年3月まで)
   判決言い渡し・・・合計444人
          強盗致傷115人、殺人100人、覚せい剤取締法違反47人など
自白324人、否認120人
実審理期間平均5.5日
平均開廷回数3.5回
裁判員経験者のアンケート調査結果・・・審理内容が分かりやすかった70.9%
  経験してよかった96.7%

2 検察特捜部問題・・・厚生労働省村木局長に対する見込み捜査(10年)
            隠蔽体質?
3 オウムに対する捜査遅れの反省・・・批判を恐れ対応が遅れた警察
            タブー視された(宗教という)存在の盲点
           <手足縛る結果になった。<ブレーキとアクセルのバランス。

4 足利事件(再審無罪)の問題点・・・初動捜査高度化・証拠収集強化

5 犯罪の追跡可能性の拡充
(1)自動車ナンバー自動読み取りシステム
(2)携帯電話通話履歴(解析)
(3)防犯カメラ(画像保存期間)の有効活用

6 犯罪被害者支援施策
   一層拡充させる必要

7 任意取調べ30代男性会社員に「人生むちゃくちゃに」暴言大阪府警部補(34)
起訴事実認める:脅迫罪初公判(2・21) 東署取調室や車内で。録音。3時間の取調べの冒頭わずか?

8 少年法
  山口県光市母子殺害事件被告(犯行時18歳)死刑
  
9 死刑適用の永山基準(83年最高裁)
① 性質②動機③態様④被害者数⑤被害感情⑥社会的影響⑦年齢⑧前科⑨犯行後の情状

                            年月日資料
             秘密漏洩罪
~ネット上の公開は正義か?~

始めに
   IT技術の進歩という構造変化
   対応遅れる企業&当局

1 民間告発サイト・ウイキリークスによる米公電漏洩
    25万点ということの意味・・・無差別漏洩
    陸軍マニング上等兵による流出行為
    主宰者アサンジ容疑者の逮捕(12・6)・・・元ハッカー
    もともと開かれた社会米国では謝罪で済むも、閉鎖社会の中国やロシアでは
    体制崩壊にもつながりかねない<警戒心が強い。大勢避難の声を徹底的に取り締まる。

2 海保職員の尖閣沖衝突映像の漏洩・・・逮捕せずに任意捜査(10・11)・起訴猶予(11・1)
    実質秘か?国民の支持配慮。
    官房長官(仙石)の批判。

3 警視庁外事3課情報漏洩
    情報収集の為に警察官になるという存在を前提とした情報管理
    秘密保持の難しさ

4 ツイッター革命(チュニジア政府崩壊11年1月)・・・民主主義への希望 
    ネットでの焼身自殺映像
    報道規制・情報管理のできにくい時代<情報を公開させる有力な武器   
  *開発独裁国家の民主化促す

5 ソニーゲーム個人情報1億人超流出(11・5判明)
    1人最大100万ドル(8千万円)補償

終わりに

<参考>

1 国家公務員の守秘義務(国家公務員法100条1項)・・・1年以下の懲役または50万円以下の罰金
  地方公務員の守秘義務(地方公務員法34条1項)・・・1年以下または3万円以下の罰金

2 秘密・・・形式的指定かつ非公知の事実で実質的にも秘密として保護するに値すると認められたもの(最決昭和52・12・19)

3 尖閣映像流出「日本や世界になにが起きているか知ってもらいたかった。国民の一人として日本の将来考え、子供達のためにもやった」(2・9)国会内での議員連盟創生日本会合での発言(非公開)。

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プロフィール

大貫啓行(おおぬきひろゆき)

Author:大貫啓行(おおぬきひろゆき)
麗澤大学経済学部・大学院教授(2014年4月から名誉教授)、(公)モラロジー研究所教授。元警視監。
東京大学法学部卒業。
1967年警察庁入庁。内閣官房、外務省、防衛庁への出向も経験、中国情報分析を中心とした内外情報畑一筋30年のエキスパート。
お問い合わせはkikikanri110@gmail.comまで。

在中国一等書記官(文化大革命直後の政治情報収集)、警視庁外事1課長(ソ連スパイ・レフチェンコ事件を指揮)、内閣情報調査室国際部(中国・ソ連分析キャップ)、防衛庁調査1課長(ソ連による大韓航空機撃墜事件の事後対応)、秋田県警察本部長、長崎県警察本部長(雲仙普賢岳噴火災害警備を指揮)、警察大学校特別捜査幹部研修所長、警察庁国際部長(初代国際部長として、阪神淡路大震災、オウムサリン事件、国松警察庁長官狙撃事件等の危機管理に携わる)、中国管区警察局長等を歴任し、1996年より麗澤大学教授・2014年より同大学名誉教授。

川崎市顧問・危機管理アドバイザー(2004年~2014年)をはじめ、多くの自治体で各種の顧問・委員等も務めている。
【著作等】
(著書)「変革~日本の対外姿勢と危機管理」(広池学園事業部)
「現代中国の群像」「暮らしの法学~安全を考える社会システム」
「国際紛争と日本の選択」『暮らしの行政~私と公の共生システム」
「説得力の養成」(以上麗澤大学出版)
「中国はどこに向かう」(白金出版)ほか
(論文)「災害に関する危機管理」「雲仙普賢岳噴火災害警備考」
「在ペルー大使公邸占拠事件の考察」「公務員における意識改革の現状」
「中国~国家・社会変革方向の考察」(以上麗澤大学紀要)など

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