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中国20世紀の歩みと日中関係の展望

市民向け教養講座レジメ(2010年)

<プロローグ>自己紹介&中国との関わり
      「実像をあるがままに」をモットーに
大掴みにした中国観
①中国にとって不幸だった社会主義・計画経済という無謀な実験
*多様なステージ:混沌とした文化大革命・天安門事件・市場経済・急激な台頭まで
②ソ連・東欧社会主義諸国の崩壊(天安門事件):なりふり構わぬ体制維持(「中国式」)
民族の求心力高めるための意図的「反日」(内政)~「微笑」外交(宣伝工作)
③難治の民:広大な領土・人口の多さ・多様さ・国民性・・・統治の難しさ
政権への怒りを逸らす:「中華民族主義」の鼓吹、その際の絶好の材料になる反日
*「日本帝国主義に対する大きな恨みを生徒の心にしっかり刻み込まなければならない」(江沢民政権時代の教師用指導書)
*南京大虐殺記念館(07年12月拡張再会館):怒りに唇を震わせ「日本製品はもう買いたくない」という感想となる展示
④独裁制に欠かせない情報統制(封殺)の難しい時代:IT時代に入り流出防止不可能に
*チベット暴動(08年3月)でほころび
⑤保守主義:とにかく現状維持で行ける所まで(集団指導体制・官僚主義)

1 中国にとって過酷な近現代史
  歴史への誇り(中華思想)と屈辱感
革命後の過酷な歩み
改革開放30年の高揚感
屈折した対日感情(東夷):日清戦争、対華21か条の要求(五四)、日中戦争
    潜在意識としての「倭寇」「日本鬼子」
2 国民性
  「漢賊は両立せず(正義と悪は一緒にしない)」:いったん敵とした相手とは交渉しないという硬直的外交。レッテル貼り。例:小泉元首相の在任中の首脳会談中断。李登輝元総統を独立派と決めつけ対話せず。敵としたら徹底的に攻撃。
「メンツ重視」の大国主義:アメリカ大好き
ハワイを起点として太平洋米中分割管理構想(08年3月11日米上院軍事委員会でのキーティング太平洋軍司令官証言、訪中時中国側提案と)~海洋覇権への本音(野心)
  日本側報道では「冗談扱い?」
毒入りギョウザ事件:日本側捜査当局が中国での混入説を匂わせたと反発
  中国「安全」との過熱報道(当局の意図)
*反日教育の影響は大きい<胡主席の「新思考」「戦略的語形関係」への抵抗
*せっかくの日本への留学生を暖かく受入れること肝要

3 徹底した個人主義者
   国家は個人にとって対立する存在:鍛えられる個人(日本人の国家への依存心)
熱しやすく、冷めにくい中国人の愛国心:孫文も嘆いた「砂(散沙)の民」
大家族制:生まれつた(身についた)集団の中での交渉術(外交の巧みさ)
*全員が巧みな交渉者(イエス・バットの日本人、ノー・バットの中国人)
  上に政策あれば下に対策あり
  だまされるような人とはやってられない:だました人は賢いがだまされる人は失格
権力者の意向に逆らうことの危険性を認識できる人だけが出世できる(常識)
*タブー破りの扱い:本質的に現在も変わらない
  第一次天安門事件(極左派の天下):毛沢東の個人崇拝を記事
共同逸見記者追放87・5(保守派長老の発言力):長老の不当批判を含む報告書
*担当した幹部が個人として懐柔努力(見返りの厚遇)
*中国への海外からの直接投資(07年)の3割超はタックスヘイブンから
(タックスヘイブン資金源の56%が香港絡み説も。中国企業からの投機的投資資金)
*海外永住ビザ取得者の国家公務員から年金受給資格剥奪との党内部指示

4 中国共産党による一党独裁正当化の根拠
帝国主義支配(日本)による(半)植民地支配からの解放:地主、国民党
    中国共産党が「抗日戦争を勝利に導き新中国を建国した」
独善:反国家分裂法、国境法、出版管理条例「領土の完全性を損なう出版物は許可しない」の類に見られる中国当局の法意識

5 タブー(原理原則)
①一つの中国(台湾独立):外国植民地支配から完全独立した統一国家
②一党独裁:革命世代の遺志から、今日では権力者の利益集団化
③分離独立(ウイグル・チベット):少数民族に対する漢民族の本能的警戒心
  08年3月のチベット:計画的暴動との宣伝。徹底的な鎮圧。
④天安門事件(&文化大革命):生々しい利害関係者
⑤法輪功:党の権威を上回る精神支配
*大義名分:表面的に原則が党利さえすれば良いという柔軟性も
*圧倒的多数はの漢民族中心思考

6 個人と国家を代表する立場(公務員)をはっきりと使い分ける
 中国代表者としては絶対引かない:根っからのプロ交渉人
甘い日本人:「胡主席来日前に、ギョウザの影を払え」などという論調に成勝ち
  中国:中国側東シナ海ガス田協議切り離し
*思想信条や立場が異なる交渉相手とも人間同士の触れ合いを大切にすることで信頼関係は築ける。外交は人と人との原点に立ち返り誠実に向かい合うこと。

7 中国は巨大な大陸国家(大国)
一つの宇宙をなしている程の広さと人口の多さ:内政中心の政策判断
政治家の判断は内政に立脚:ナショナリズムに流される(チベット総覧への対応)
 一歩間違えると「弱腰批判」に晒されることを恐れる当局
大国は相手を無視できる:外交という意識はない<国内事情次第
*海洋国家(日本):貿易立国 

8 圧倒的に多い補完関係:規模(人口、広さ、生産量)、体制(独裁、民主)、知財
ぶつかる部分:アジアの指導的地位(相互に認め合えば解消)
互恵の貿易・投資関係は政治関係での緊張緩和に役立つ:経済発展センター
中国の台頭は日本に大きな機会をもたらす:巨大な中国市場の誕生
製品・経済金融政策などの面での日本の経験は中国にとって有益なものが多い
(1)マクロ経済での相互補完性の高さ(Win-Win関係):中国特需・市場の大きさ
  中国が欲する日本のマクロ経済コントロールや内需拡大などの政策、省エネ、環境保全や技術立国などでの経験、意見交流
(2)貿易・投資面での協力:日本にとって中国は最大の貿易相手国(06年出入国合計~)
(3)省エネ・環境面での協力強化(共通課題):運命共同体的関係でもある
(4)東アジア地域協力での交流・協力
(5)国際問題解決での交流・協力

おわりに
①中国問題は日本問題:日本人がしっかりすることが前提
*中国側の振幅の大きさを前提に動じない冷静なスタンスを取ることが肝要
②国家としても個人としても:自己責任の覚悟・自立。自信を持てる自己認識・愛国主義・戦略・人間観(日本人の甘さ・幼さ)
③「同文同種の国」錯覚が生む摩擦:日本人のDNAに刻まれた中国のイメージ・願望
④まるで異なる異質の国という出発点に立つこと:その方が付き合いやすい
*下手に同文同種などという幻想を抱いてはならない(幻滅に繋がる)
⑤自信を持って

参考資料(手持ち)
1 表面化した格差問題
経済成長で既得権益を得た層がこれ以上の改革を進めたがらなくなるという傾向
経済成長から取り残された貧しい下層集団の生存空間を構築する必要
     学校の手抜き工事(四川大地震)
  教育格差・・・修正不能の域?<よりよい大学を目指した大競争<エネルギー源でも
2 55少数民族・・・漢民族への果実配分での格差感
チベット族(542万人)チベット暴動08・3
ウイグル族(840万人)ウルムチ暴動09・7・5
3 情報統制の限界
  世界で最大のネット人口。携帯電話役6億台(現在の井戸端会議レベル)
インターネット2億台超、ブロードバンド人口07年末で6646万人で米国を抜き世界一に、ブログ登録1億人超(各自が意見の発信者)。
  *反日運動(05年春)*仏カルフール不買運動/四川大地震救援(08・5)
4 強い反発を回避した自衛隊機の見送り判断はよかった・・・相手の心を汲んだ支援が大切。公式の要請以前に自衛隊機の派遣検討が漏れた(前のめりの感)。中国の事情を考えた細心さが求められる。対日感情の変更には時間をかけた積み重ねが欠かせない(08・5)。
  *重慶/成都空爆5年間以上。インターネット上での自衛隊機派遣へ猛反発。
5 インドシナに中国の奔流
  中国の影がインドシナ諸国に急激に濃くなっている。メコン川の国際航路としての利用は01年から開始され、中国からの人や物の圧倒的な流れを見せている。
6 「中国 危うい超大国」(NHK出版、スーザン・L・シャーク著・・・カリフォルニア大大学院教授、元米国務次官補代理)
  指導者たちが自らの権力の正統性、党体制の存在に異常なほど不安と恐怖を抱いている。そのために軍依存を強め、世論による非論理的なナショナリズムを阻止できていない。近年、多国間外交、周辺外交、新安全保障観を強調「責任ある大国」を意識するようになった。が、特に日中、中台、米中には国民感情が絡み、中国外交の最大の難題となっている。
 「対米関係は面子と国益の問題、対日関係は愛国心の問題、台湾(独立)は共産党体制にとって死活の問題」
  *攻撃的なナショナリズムから友好的なものへの転換、改革の受益者である地方幹部と民間経済人の外交政策への参与、党のマスコミ統制の緩和などで、民主化を経なくとも難局から脱する可能性を指摘している。 
7 オリンピックに際しての食の安全、環境問題への対処・・・対処療法色強かった。
8 秘密主義・・・透明性確保こそが行政への信頼高める鍵
9 「政治的に行方不明の日本」英フィナンシャルタイムズ(09・7・4)
  ソ連崩壊で地政学的な価値の低下。中国&インドの台頭。バブル経済崩壊・長期低迷で日本政治家の自信喪失状態。
10 日本の役割は規範に基づく国際秩序を強化、拡大して中国など新興国を組み入れること。東北アジア・・・相互安全保障体制の欠けている地域。<漫画とクールジャパンだけでは心もとない。

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プロフィール

大貫啓行(おおぬきひろゆき)

Author:大貫啓行(おおぬきひろゆき)
麗澤大学経済学部・大学院教授(2014年4月から名誉教授)、(公)モラロジー研究所教授。元警視監。
東京大学法学部卒業。
1967年警察庁入庁。内閣官房、外務省、防衛庁への出向も経験、中国情報分析を中心とした内外情報畑一筋30年のエキスパート。
お問い合わせはkikikanri110@gmail.comまで。

在中国一等書記官(文化大革命直後の政治情報収集)、警視庁外事1課長(ソ連スパイ・レフチェンコ事件を指揮)、内閣情報調査室国際部(中国・ソ連分析キャップ)、防衛庁調査1課長(ソ連による大韓航空機撃墜事件の事後対応)、秋田県警察本部長、長崎県警察本部長(雲仙普賢岳噴火災害警備を指揮)、警察大学校特別捜査幹部研修所長、警察庁国際部長(初代国際部長として、阪神淡路大震災、オウムサリン事件、国松警察庁長官狙撃事件等の危機管理に携わる)、中国管区警察局長等を歴任し、1996年より麗澤大学教授・2014年より同大学名誉教授。

川崎市顧問・危機管理アドバイザー(2004年~2014年)をはじめ、多くの自治体で各種の顧問・委員等も務めている。
【著作等】
(著書)「変革~日本の対外姿勢と危機管理」(広池学園事業部)
「現代中国の群像」「暮らしの法学~安全を考える社会システム」
「国際紛争と日本の選択」『暮らしの行政~私と公の共生システム」
「説得力の養成」(以上麗澤大学出版)
「中国はどこに向かう」(白金出版)ほか
(論文)「災害に関する危機管理」「雲仙普賢岳噴火災害警備考」
「在ペルー大使公邸占拠事件の考察」「公務員における意識改革の現状」
「中国~国家・社会変革方向の考察」(以上麗澤大学紀要)など

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