FC2ブログ

報道もパンチに欠けた自民総裁選  情熱と覚悟を 

 全国紙への原稿(平成24年9月)です。               

 安倍候補の独走で盛り上がりに欠けた自民党総裁選も明(20)日が投票日。          
実質的に首相を選ぶことになる本選挙はもちろん単なる党内の問題には留まらない。次期政権の政策への影響面からも報道価値は高く、扱いが注目された。         
特に3候補のそれぞれの思想や政策をより具体的に引き出し浮き出させる工夫が期待された。      
9月1日の安倍氏の正式立候補表明・政権公約発表で選挙戦終盤が開始された。翌2日付社説「小泉路線との両立は可能か」は安倍氏の構想を「いささか具体性が欠ける」としのは誰が見ても同意。持論と小泉路線との整合性に疑問を呈し、小泉政権で先送りされた諸       課題への緊急の取り組みを求めたのも当然。
 「近隣諸国との信頼関係の強化」の前提として、靖国参拝への対応を自ら明らかにせよ迫った。同社説での具体的要求はこの靖国参拝への態度明示だけだった。
この問題では谷垣氏が参拝しないと明言、他2者は議論を避け、大きな争点とはならなかった。
阿倍氏が触れたのは4日、福岡でのブロック大会で「外交、政治問題に発展させようという、よこしまな人たちがいるのであれば今宣言する必要はない」(4日朝日)との発言。           
社説の論理からは、直ちに安倍氏のこの発言を大きく捉え反論すべきだった。かつ少なくともこの問題での谷垣氏への支持を鮮明にさせ他の2候補を刺激するべきではなかったか。
逆に5日2面の特集ワールド「秒読み安倍晋三首相」などを見る限り、紙面構成は安倍氏応援の様相。少なくとも社説主張への執着が感じられなかった。
勝利が見込まれた安倍氏は「戦略的にあいまいさ」をとることで政権運営の幅を確保しておこうとの作戦。注目の消費税率も具体的には言わずに通した。具体性        を引き出させたい報道とはスタンスは異なった。
安倍候補は靖国参拝問題でも触れないという「戦略的あいまいさ」で通した。さすがに9月10日社説「あいまいな解決法はない」で、安倍氏の戦術を「姑息な策」とし、次期首相に「誠信」外交を建策。主張には同意なのだが、パンチに欠け取り澄ました印象。
 その他の課題でも具体的論争を仕掛けさせる努力でも物足りなさが残った。        
阿倍氏からより具体的なものを引き出す可能性のあったものを探せば、3年で       道州制による分権化の骨格に基本的な道筋をつけるとの2日松山でのブロック大       会発言(日経3日2面)。しかし、他紙はほとんど注目せず追求していない。
8月22日打ち上げた日本版NSC(国家安全保障会議)構想は阿倍政権の基          本的性格に係わる日米同盟の実質的強化方向を象徴するものとして注目すべきも      のと考えるが、各紙とも追っていない。
 告示9月8日の3候補共同記者会見を受けた翌9日社説「言葉だけが上滑りしている」との批判も誰しも同意。しかし、「メディア側も実にふがいなかった」         
「私たちメディアの責任も重いと肝に銘じたい」と反省されては辛口時評氏の批判も行き場を失う。                       
* この論評は東京本社発行の紙面をもとにしました。
                   
スポンサーサイト



コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

はは

あはは
プロフィール

大貫啓行(おおぬきひろゆき)

Author:大貫啓行(おおぬきひろゆき)
麗澤大学経済学部・大学院教授(2014年4月から名誉教授)、(公)モラロジー研究所教授。元警視監。
東京大学法学部卒業。
1967年警察庁入庁。内閣官房、外務省、防衛庁への出向も経験、中国情報分析を中心とした内外情報畑一筋30年のエキスパート。
お問い合わせはkikikanri110@gmail.comまで。

在中国一等書記官(文化大革命直後の政治情報収集)、警視庁外事1課長(ソ連スパイ・レフチェンコ事件を指揮)、内閣情報調査室国際部(中国・ソ連分析キャップ)、防衛庁調査1課長(ソ連による大韓航空機撃墜事件の事後対応)、秋田県警察本部長、長崎県警察本部長(雲仙普賢岳噴火災害警備を指揮)、警察大学校特別捜査幹部研修所長、警察庁国際部長(初代国際部長として、阪神淡路大震災、オウムサリン事件、国松警察庁長官狙撃事件等の危機管理に携わる)、中国管区警察局長等を歴任し、1996年より麗澤大学教授・2014年より同大学名誉教授。

川崎市顧問・危機管理アドバイザー(2004年~2014年)をはじめ、多くの自治体で各種の顧問・委員等も務めている。
【著作等】
(著書)「変革~日本の対外姿勢と危機管理」(広池学園事業部)
「現代中国の群像」「暮らしの法学~安全を考える社会システム」
「国際紛争と日本の選択」『暮らしの行政~私と公の共生システム」
「説得力の養成」(以上麗澤大学出版)
「中国はどこに向かう」(白金出版)ほか
(論文)「災害に関する危機管理」「雲仙普賢岳噴火災害警備考」
「在ペルー大使公邸占拠事件の考察」「公務員における意識改革の現状」
「中国~国家・社会変革方向の考察」(以上麗澤大学紀要)など

カテゴリ
最新記事
クリックしてください↓↓↓
月別アーカイブ
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

アクセスカウンター
RSSリンクの表示
あし@
講演依頼お問い合わせはこちら↓

名前:
メール:
件名:
本文:

人気ランキング
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR
最新コメント
最新トラックバック