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企業倫理としての貿易管理強調を

平成24年全国紙に掲載されたものの原稿です。
     
 わが国の安全保障面での意識の世界水準からの乖離は深刻。
ミツトヨによるリビヤやイランなどへの三次元精密測定器不正輸出(8月25日夕刊面トップから28日31面など連日)は改めて警鐘に値する。ヤマハによる小型無線機の中国への輸出未遂(05年12月)、凍結乾燥機の北朝鮮への輸出(06年8月)などと共に氷山の一角。核兵器・生物化学兵器の拡散の重大性は改めて指摘するまでもない。
民生技術と軍事技術の垣根が低くなり汎用化していることからわが国の多くの    企業がこの種情報の宝庫となっている。民用・汎用品に関して欧米先進諸国がこぞって貿易管理強化に取り組んでいる中でのわが国の無防備な状態そのものがすでに犯罪的でさえある。
 専門チームを編成、数値改ざんソフトを作成、低性能と偽るなどその後の一層の悪質さが明らかになることの予想された事件に対して「違法性の認識はなかったと考えている」との会長談話のままの報道(26日朝刊)は余りにクールで物足りない。企業の自主性に
ゆだた制度の限界との見出し(同日3面)も、企業自身の責任を制度に転化との印象をもたれかねない。          
 規制という官頼りでなく、国民の意識を高め企業倫理面での自己規制なくしては、国民の支持が得られないという状態を目指すのが望ましいとの判断が当然ではないか。
 8月26日社説も日本の大手メーカーとのみの表現でミツトヨと社名明示の同日日経など他社社説に比べ腰が引けた感じ。「技術抜け穴を封じよ」との表題だが掛け声のみで何ら具体的中身がなく食い足りない。同日産経社説の「闇ルートを徹底解明せよ」での企業の自覚、経産省への迂回輸出防止の有効手段検討提案、日経9月1日43面トップ「法令順守、形だけ」との継続的追求姿勢などに比べ見劣り感はぬぐえない。ココムに変わってワッセナー条約となり、技術の汎用化に伴って現在では技術輸出全体を規制するキャッチオール制度となっている今日の安全保障貿易管理制度への理解が遅れているわが国民の飛躍的な理解深化へ向けた報道サイドの一層の努力を期待したい。
更に特集を組むなどして取り上げに値するテーマ。
今後に期待したい。        

  地域ネタの扱い          
 9月1日、防災の日の報道を種に地域ネタの発掘について注文したい。
 防災訓練は年中行事・風物詩・季語的なテーマ。それだけにマンネリになりかねない。読者の安全と安心への意識が高まっている中での工夫に期待した。        
 9月1日夕刊、2日朝刊とも取材対象は行政主導訓連で参加した人々の声を加えた程度。帰宅困難者輸送訓練での水上バスが予定より約40分遅れた点に焦点を当てていたが、訓練でのハプニングは有益との視点を強調すればよりよかった。  
企業などの独自実施の徒歩帰宅体験談、企業の地域住民を想定した備蓄事例など共助・自助での地域密着ネタの収集が欠かせない。読者モニターなどの参加工夫も更に勧める。           

* この論評は東京本社発行の紙面をもとにしました。
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プロフィール

大貫啓行(おおぬきひろゆき)

Author:大貫啓行(おおぬきひろゆき)
麗澤大学経済学部・大学院教授(2014年4月から名誉教授)、(公)モラロジー研究所教授。元警視監。
東京大学法学部卒業。
1967年警察庁入庁。内閣官房、外務省、防衛庁への出向も経験、中国情報分析を中心とした内外情報畑一筋30年のエキスパート。
お問い合わせはkikikanri110@gmail.comまで。

在中国一等書記官(文化大革命直後の政治情報収集)、警視庁外事1課長(ソ連スパイ・レフチェンコ事件を指揮)、内閣情報調査室国際部(中国・ソ連分析キャップ)、防衛庁調査1課長(ソ連による大韓航空機撃墜事件の事後対応)、秋田県警察本部長、長崎県警察本部長(雲仙普賢岳噴火災害警備を指揮)、警察大学校特別捜査幹部研修所長、警察庁国際部長(初代国際部長として、阪神淡路大震災、オウムサリン事件、国松警察庁長官狙撃事件等の危機管理に携わる)、中国管区警察局長等を歴任し、1996年より麗澤大学教授・2014年より同大学名誉教授。

川崎市顧問・危機管理アドバイザー(2004年~2014年)をはじめ、多くの自治体で各種の顧問・委員等も務めている。
【著作等】
(著書)「変革~日本の対外姿勢と危機管理」(広池学園事業部)
「現代中国の群像」「暮らしの法学~安全を考える社会システム」
「国際紛争と日本の選択」『暮らしの行政~私と公の共生システム」
「説得力の養成」(以上麗澤大学出版)
「中国はどこに向かう」(白金出版)ほか
(論文)「災害に関する危機管理」「雲仙普賢岳噴火災害警備考」
「在ペルー大使公邸占拠事件の考察」「公務員における意識改革の現状」
「中国~国家・社会変革方向の考察」(以上麗澤大学紀要)など

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