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政治的配慮が優先される中国の裁判~前鉄道相にまやかしの死刑判決

約10億円相当の収賄と職権乱用の罪に問われた中国前鉄道相(劉志軍)に対し北京地裁は6月8日、2年間の
執行猶予付き死刑判決を下した。07年に約1億円の収賄で死刑が執行された食品薬品監督管理局長などへの厳しい判決と比して、今回の判決は温情あふれる寛大なものだった。

 執行猶予付き死刑とは、2年の執行猶予期間を経て、無期懲役になりやがてさらに厳刑される可能性が高いということだ。

 中国の幹部に対する判決はすべてその時々の政治的な配慮の結果である。今回の穏便な判決にはそれなりの背景がある。劉前鉄道相の背景は江沢民元元国家主席だということは誰でも知っている。要するに江前主席が死刑判決を回避させたということだ。

 習近平国家主席は公務員の綱紀粛正を叫ぶが、所詮は、形だけということが明らかになった。大物への配慮が綱紀粛正に優先されるということを全国民に示したのだから。

 綱紀粛正も小役人限り(小役人は1億円に満たない収賄で死刑というのが相場)、大物は政治的な配慮が優先するという国なのだ。

 善良な一般中国人の失望の溜息が聞こえて来る。国民の司法への信頼は、改めて、崩壊した。
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プロフィール

大貫啓行(おおぬきひろゆき)

Author:大貫啓行(おおぬきひろゆき)
麗澤大学経済学部・大学院教授(2014年4月から名誉教授)、(公)モラロジー研究所教授。元警視監。
東京大学法学部卒業。
1967年警察庁入庁。内閣官房、外務省、防衛庁への出向も経験、中国情報分析を中心とした内外情報畑一筋30年のエキスパート。
お問い合わせはkikikanri110@gmail.comまで。

在中国一等書記官(文化大革命直後の政治情報収集)、警視庁外事1課長(ソ連スパイ・レフチェンコ事件を指揮)、内閣情報調査室国際部(中国・ソ連分析キャップ)、防衛庁調査1課長(ソ連による大韓航空機撃墜事件の事後対応)、秋田県警察本部長、長崎県警察本部長(雲仙普賢岳噴火災害警備を指揮)、警察大学校特別捜査幹部研修所長、警察庁国際部長(初代国際部長として、阪神淡路大震災、オウムサリン事件、国松警察庁長官狙撃事件等の危機管理に携わる)、中国管区警察局長等を歴任し、1996年より麗澤大学教授・2014年より同大学名誉教授。

川崎市顧問・危機管理アドバイザー(2004年~2014年)をはじめ、多くの自治体で各種の顧問・委員等も務めている。
【著作等】
(著書)「変革~日本の対外姿勢と危機管理」(広池学園事業部)
「現代中国の群像」「暮らしの法学~安全を考える社会システム」
「国際紛争と日本の選択」『暮らしの行政~私と公の共生システム」
「説得力の養成」(以上麗澤大学出版)
「中国はどこに向かう」(白金出版)ほか
(論文)「災害に関する危機管理」「雲仙普賢岳噴火災害警備考」
「在ペルー大使公邸占拠事件の考察」「公務員における意識改革の現状」
「中国~国家・社会変革方向の考察」(以上麗澤大学紀要)など

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